39、開門2
コンソールで≪グリザナの門≫の開門プロトコルを実行させる。
マルが壁のビシュテ・マップに目をやっていた。
「エルさん、どうして≪ゲラシオン・パーク≫を通らなかったんですか?」
彼女が指差すのは、展望デッキからこの≪グリザナの門≫を繋ぐビシュテ区画の首都圏エリアだ。展望デッキからここへの最短ルートになっている。
「直線移動だけが旅じゃないさ」
彼女は不思議そうにマップを見つめている。
「門が開くよ」
僕が言うと、マルは管理棟の窓に近づいた。
ゴウン……。空間を揺らすような音と共に、≪グリザナの門≫が横回転を始める。
「おお、すごいです!」
≪グリザナの門≫はそれ自体が巨大な生物学研究施設だった。そして。、その巨大構造物が≪種の揺籠≫を保護する蓋の役割をしているのだ。
床から競り上がった無骨な直方体、それが≪種の揺籠≫だ。
マルが管理棟を飛び出して行く。外で彼女が手招きする。
僕はゆっくりと管理棟を出る。
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