26、謎の等式

 くしゃみをした。マルが飛び上がるほどにびっくりしていた。


「爆発ですか?」


「爆発じゃないよ。くしゃみだよ。鼻がムズムズするんだ」


 彼女は真剣な表情だ。


「定期的な生理現象ですか? 今まで見たことありません」


「ランダムな生理現象だと思うよ」


「なるほど……。エルさんのくしゃみの発生頻度が気になります。モニタリングしていいですか?」


「いいけど、モニタリングしてどうするの?」


「エルさんから発生するカオスを観測したいです!」


「そうか、君はカオスが好きなんだったね」


 そう言うと、彼女はじっと考え込んだ。


「しあわせとときめきとすきは同じものですか?」


「うーん、微妙に違う気もするけど、同じグループの感覚かもしれないね」


 彼女が僕に迫ってくる。


「エルさんはしあわせがすきですか?」


「そうだね……」


「しあわせでときめきますか?」


 僕は頷いた。


「ときめきはすきですか?」


「まあ、すきだね」


 彼女は真理に辿り着いたみたいな驚愕の表情を浮かべる。


「しあわせ=ときめき=すき=エルさん!」

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