18、疲れ知らず

 彼女が伸びをしていた。


「疲れてるの?」


 そう聞くと、彼女は得意げに答える。


「エルさんがのびをしていたから、マルもしたくなったんです。つかれたい」


「疲れたいって、そんな願望初めて聞いたよ」


 彼女は目を輝かせた。


「マル、おもしろいですか?」


「うん、面白いよ」


「一緒にわらいましょう! わははー」


 一緒になって「わははー」と言うと、彼女は嬉しそうに僕を見た。


「どうしてのびをしますか?」


「同じ体勢で作業をしていると、身体が凝っちゃうんだ。だから、それをほぐすために伸びをするんだよ」


 彼女は目を丸くして、「わははー」と言った。


「今の面白かった?」


 彼女は首を振る。


「意外だと思いました」


 今度は僕が笑う番だった。

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