10、異種間コミュニケーション
「決めましたよ」
マルがニコニコしながらやって来た。
「なにを?」
マルは向こうにタッタッタ……と走っていき、鉢植えを抱きしめて戻って来た。
「この子です!」
いつか種を蒔いた鉢植えだ。ずいぶん成長して茎が伸びて葉が大きくなっている。
「ずっと考えてたのか」
「アルです!」
「どうしてアルにしたの?」
マルは中空を仰いだ。
「エルさんがいて、マルがいて……、音が仲間外れにならないようにって……」
僕はアルの葉を人差し指と親指で挟んで撫でた。
「よろこんでます、アル」
マルは満面の笑みだ。
「君はアルの気持ちが分かるの?」
「そうだってしんじることにしたんです」
「信じる……」
予想していなかった答えだった。彼女の笑顔を見たら、驚きもどこかへいってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます