9、まどろみの中で
目が覚めるとマルの顔がすぐそばにあった。息が詰まりそうになって、咳き込んだ。
「エルさん、お目覚めですね。大丈夫ですか?」
「いつからそこにいたの?」
「うまれた時から……じゃなくて、24分17秒前からです」
「ずっと見てたの?」
「マルもねたいです」
彼女は悲しそうに呟いた。
「君は眠る必要がないんだよ」
「ねむるとどうなるんですか?」
僕が答えあぐねていると、彼女がベッドの僕の隣に滑り込んできた。
「マルもねむりたいです」
身を寄せてくるマルの体温がじわりと僕の胸を掴む。
いつもなら目覚めるまで時間がかかるのに、目がすっかり冴えてしまった。
「ねむれません」
彼女がじっと見つめてくる。
それは僕のセリフだよ。
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