6、しあわせ
「マルは何をしている時に幸せを感じるの?」
僕がそう聞くと、彼女は難しそうに顔をしかめた。初めて見る表情だった。
「しあわせにもいくつかの種類がありますよね。どの種類のしあわせですか?」
いつも彼女は難しい質問を繰り出してくる。
「楽しくて、嬉しくて、自分がここにいる意味がこれなんだって思えるようなこと……かな」
彼女はしばらく考えたが、首を振った。
「類例がほしいです。エルさんはどうですか? どういう時にしあわせを感じますか?」
「そう問われると、確かに難しいな」
「マルがここにいる理由は、エルさんがマルを造ったからです。それがしあわせなのかもしれません」
「僕も君と……」
彼女が僕を見つめる。
「いや、なんでもない」
彼女の純粋な瞳に僕は思わず口を噤んだ。
きっと僕と彼女とでは幸せの定義が違うだろう。
「じゃあ、しあわせ、一緒につくりましょう」
ニコリとする彼女に、僕は頷いてしまっていいのだろうか?
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