第9話 結婚式とサキュバス族
「なぜ驚く?結婚式をやるのは当たり前だろう?」
「そうだけど……まさか明日だなんて」
「デートは結婚式の後になるな」
いきなりすぎるし、順番が完全に逆だ。
普通なら、結婚式が最後に来るはずなのに。
「リュート様。結婚式は外交でもあるのです。各国の王侯貴族が来ます。リュート様の振る舞いはひとつで、我が国は窮地に立たされます」
フレアさんが真剣な顔で言った。
王族には、めんどくさいことがたくさんあるようだ。
確かにデートどころじゃないな……
「姫様。エロティカ帝国の皇帝が結婚式に来るそうです。策を打ったほうがよろしいかと」
「そうだな……リュート。手を出してくれ」
俺はアリアさんに右手を差し出した。
「何するの?」
「ちょっと魔法をかけるぞ。サキュバス族からリュートを守るためだ……フレア。頼む」
フレアさんが呪文を唱えた。
「つっ……!」
手の甲に、何かの印が浮かび上がった。
「淫夢魔法を無効にする魔法陣だ。万が一、サキュバス族がリュートに淫夢魔法かけても、これで無効にできる」
「淫夢魔法って……?」
「サキュバス族のユニークスキルだ。一瞬で男を虜にしてしまう魔法。淫夢魔法で、サキュバス族は大帝国を作り上げたのだ」
「やはりリュート様にも、いろいろと知っていただかないといけませんね……」
フレアさんの話によれば、サキュバス族のエロティカ帝国は、ドラカリス王国の隣にある大帝国だ。
男女比が1:10000のこの世界では、男は貴重な資源。
サキュバス族は淫夢魔法を使って、この世界の男の3分の2を独占している。
男をたくさん確保すれば、子どもをたくさん作ることができて、人口を増やすことができる。
「多くの国がエロティカ帝国の属国になっています。我が国も独立が危ういのです」
「リュート……古代竜の血を受け継ぐそなたは、サキュバス族に間違いなく狙われる。サキュバス族の女が古代竜の子を孕めば、最強の子が生まれるからな」
「姫様……万が一のため、リュート様に貞操帯をつけたほうがよろしいのでは?」
……貞操帯?
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