第4話 もう二度と帰れない

朝のご奉仕の後、俺はロゼさんに連れられて、アリアさんのところへ向かっていた。


ロゼさんは俺の添い寝役兼侍女で、昼も夜も俺のお世話をしてくれるらしい。


……朝のご奉仕は、めっちゃくちゃよかった。

世の中に、あんなに気持ちいいことってあるのか。

竜王様は毎朝、エルフの女の子にあんなことやこんなことしてもらえるなんて、羨ましすぎるご身分だ。


石造の塔に、甲冑の並んだ回廊。

まるでファンタジー世界のお城のようだ。


「この先が、謁見の間でございます」


重たい鉄の扉を開けると、豪華な部屋が見えてくる。

昔、世界史の教科書で見たヴェルサイユ宮殿のように、金色の絢爛な部屋だ。


「すげえ……」


俺は思わず息を呑んだ。


高い天井に、大きな竜を象ったステンドグラスがある。

キラキラして、眩しいくらいだ。

奥の椅子に、アリアさんが座っていた。

隣には、俺を召喚したローブを纏った女の子、フレアさんが立っていた。

アリアさんの側に侍っているから、きっと偉い立場の人なんだろう。


「おはよう。リュート。朝のご奉仕はどうだった?」


にっこりと、アリアさんが俺に微笑んだ。

今日はピンク色のドレスを着て、豊かな胸の真ん中で、ブローチがきらりと光る。

深紅の髪は腰まであって、艶やかだ。

こんなかわいい女の子と、陰キャ大学生の俺がシタなんて、未だに信じれらない。

しかも、出会ってすぐに……


「とってもよかったです……じゃなくて、俺を家に帰してくれないか?」

「すまん。リュート。……そなたはもう帰れない」

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