第7話 普通の恋愛がしたい
「セリス!入れ!」
鎧を纏った女の子の騎士が、部屋に入ってきた。
銀色の髪の長いがたなびいて、とてもきれいだ。
胸甲がはちきれそうなくらい、おっぱいが大きい……
「リュート様……セリス・ド・バリュナードと申します。リュート様の騎士を務めさせていただきます」
セリスさんは膝まづいた。
「こちらこそ、よろしくお願いします……」
「竜王様を護衛できて光栄です」
「あの、まだ一応候補なのですが……」
背は165センチくらいで、年上のお姉さんって感じだ。
腰まで伸びたストレートの髪は、きれいに手入れされて艶がある。
「リュート。セリスはドラカリス王国一の騎士だ。セリスに守ってもらえば、私も安心できる」
「リュート様は私が全力でお守りします。昼も夜も」
「あ、ありがとうございます……」
女性から全力で守ると言われて、男として引っかかりを覚えないわけにはいかない。
なんせ前の世界では、男が女性を守るのが当たり前だとされていたから。
「リュートは、ハルモニアに来たばかりだ。いくら最強とは言え、真の姿になれば、かなり身体に負担がかかる。我々も、戦(いくさ)の時以外は、真の姿にはならない」
たしかにまだ身体が怠い。
足がガクガクして立てそうにない。
真の姿——ドラゴンの姿になるのは、かなり身体に負担がかかるようだ。
「あと、もうひとつ。リュートに大事な話がある」
アリアさんが真剣な顔をした。
「これを見てほしい」
アリアさんの側にいた侍女が、大きな水晶玉をテーブルの上に置いた。
中に、何かの花の蕾が入っている。
「この水晶玉の中に、薔薇の蕾がある。この蕾が花開いた時、私のお腹に子が宿ったことになる。リュートの世界で言う、にんしんけんさやく、だ」
「昨日のではまだ……ってことですか?」
「ああ。竜族が子を宿すためには、お互いに心から愛して合って交わらないといけない。私はリュートを愛しているが、リュートは私を愛していないようだ。そこで問おう!なぜ私を愛していない?」
「なぜって……」
俺はいきなり異世界に召喚されて、何もわからないまま、アリアさんに童貞を奪われた。
アリアさんのことは、正直、何も知らない。
「いったいどうしてだ?私のやり方が良くなかったか?気持ちよくなかったか?」
「いや、そういうことではなくて……」
「では、どういうことなのだ?」
アリアさんは眉をひそめた。
「……俺の世界では、まず一緒に買い物したり、食事したりして、2人の距離を少しずつ縮めて、相手のことを知っていきます。そうやってちょっとずつ、お互いを好きになっていくんです。俺とアリアさんは、好きなる過程がなかったと言うか……」
彼女いない歴=年齢の俺が言うのもおかしいけど、好きになる過程がないダメなんだと思った。
「デート、というやつか……まったくリュートの世界の人間たちは回りくどいことをする。では、デートすればいいのだな?」
「まあ……そうですけど」
「わかったぞ。デートしてリュートに私を好きになってもらおう。よぉし!買い物に行こう!」
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