第6話 緊急課題!真実の愛を探せ
媚薬騒動の翌日、教室にはアーリーンの姿はなくミッシェルが教壇で腕を組んでカミュア達を待っていた。その横にはカイト。ララの姿はアーリーンと同じように見当たらない。
カミュアと
「いきなりだけど、課題を発表しま~す!」
課題? 始末書とかお仕置きとか、そんな話じゃないの? とカミュアは目を丸くしてミッシェルを見つめる。
「カミュアと
「えっ?」
カミュアはミッシェルからのお題を聞いてきょとんとしている。もちろん
「それと、課題をクリアするまでここに戻ってこれないからね」
「そ、そ、そんな…」
「これは、本当の人の心を知る良い機会だから。しっかり課題をやってくること。もちろんストーンが記録をしてくれるから、ズルはできないからね」
ミッシェルは腕を組みながら嬉しそうに課題を発表した。
課題を終わらせるまでライトの作る美味しいモノが食べられないじゃないかぁ~~~! パパは悪魔だっ、と思わずにはいられないカミュアがここにいる。まーミッシェルは本物の悪魔なのだから、カミュアの嘆きは嘆きにもならない。
「それと~今回は人間から君たちの姿が見えないように魔法をかけておくから、気を付けてよ。もちろん魔法はつかえない。このキューピッドの矢だけ、これだけ使えるからね」
ミッシェルは
「カイトも一緒じゃないの?」
「そうだね~。今回の課題は生徒のみ。そしてお前と
一通りの説明が終わった後、出かける準備が行われた。カミュアにはカイトが、
「ほら、行っておいで」
「いってらっしゃい」
ミッシェルとカイトに送られて、二人はしゃべるエレベーターに乗り込んだのだ。
* * *
そして…今に至る。
「
「何が?」
二人は高いビルの屋上の淵に腰かけ、蟻の様に動く車や人を眺めていた。夕刻になり街はあわただしく動いている。
二人の存在は誰も知らない。見えないのだから当たり前っちゃ~当たり前だ。
「だって、もう2人も課題クリアしてるでしょ? なぜあの人を選んだのか、僕にはまったくわからなかったよ」
カミュアが
「私には簡単な課題だわ。人の心は手に取るようにわかるの」
「そうなんだね~。僕には全然わからないや」
「わからない方が幸せなこともあるわ」
「そう?」
「な、何?」
「ううん、あなたの心は澄んだ海の様に広くて奇麗なのね。悪く言えば単純? 嘘が一つもないって感じ?」
「それって、僕のこと…褒めてくれてるの?」
「そうかもね」
「
「気になるの? どちらでもいいんじゃない?」
「そうだけど、ちょっと聞いてみたかったんだ。ごめん。言いたくなかったよね」
カミュアは足をブラブラさせながら、夕日にそまったオレンジ色の空を眺める。悪気のないカミュアの言葉は、
「私は、黄泉の国で生まれたの。だから天使でも悪魔でもないわ。分類するとすれば、魔族ってことになるのかしら?」
「魔族?」
少し話すぎてしまったと後悔しつつ
「私のことはどうでもいいので、早く課題を終わらせましょう。最後の1人は、あなたが選んで。正しい選択かどうかは私がサポートしてあげる」
「あ、ありがとう。助かるよ」
カミュアは
「
「そうね。早く一人前になって黄泉の国に来る住人をしっかりと裁きたい。カイト先生と同じような職に就きたいと思ってるの。なれるかわからないけど」
「すごいよ!
カミュアのキラキラした瞳が
「ありがとう。カミュア」
「えっ? 僕…感謝されるようなこと言ったかな?」
カミュアは首をかしげて
「さて…。カミュア。どこで探す?」
「そうだね~。よくわからないから、あの白い大きな建物のあたりで探そうかな?」
「あそこ? あそこは……。いいわ行ってみましょう」
あそこは病院だけど…、という言葉を飲み込んだ。最後の3人目はカミュアに任せると決めたのだから口を出すことは控えよう。そう
カミュアは元気よくビルの階段に向かって歩いて行く。慌てて
病院は今夕食時であわただしい。患者さんの家族もお見舞いに来ている時間だ。今なら課題に似合った人物と出会えるかもしれない。もし出会えなかったら、別な場所に移動することを提案しよう。そう思いながら
今日で人間界に降り立って、1週間がたつ。特別クラスのコミュニティーにアーリーンからのメッセージは、今日もはいっていなかった。
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