第5話 先生!ビリビリはやめてください
授業再開。スマホのコミュニティーにミッシェルからメッセージが入った。
『あと10分で始めるよ。言い忘れたけどみんな普段着で集合ね』
「早く言ってよね~(涙)。パパはいつも段取りが悪いんだ。ママがそう言ってたよ」
「俺も、分かる気がする…」
そんな話をしながら、特別クラスに戻る。言われなくても分かることだが、
「よし! みんな戻ったね。さぁ始めよう」
「はい! 先生」
「なんだい? カミュア君」
ちょっと待った。何だろう、このデジャブ感。さっき見たぞ? この二人…やっぱり親子だ。何だかんだ言ってノリが一緒なのだ。
「どうやるんですか~?」
「気になるよねー、説明しよう!」
「これから君たちに、3種類のパネルを渡すよ。壊さないようにね。そしてカミュア! 絶対に食べないように」
普通、食わないだろ? アーリーンは心の中で突っ込みを入れる。
「そして一人一人君たちの前に変身した我々が登場するから、それが誰だか当てること。オーラで判断するもよし。内面を見て判断するもよし。簡単だろ?」
「で、これは何ですか?」
アーリンはいつの間にかつけられた鎖を、ジャラジャラ鳴らし、ミッシェルに見せる。
「あーそれ? ただ当てるだけじゃつまんないでしょ? 間違えたら電流が流れるから気を付けてね」
しれっと澄ました顔でミッシェルは説明する。
「アーリーンの鎖の本数、多いいね」
「なにぃ~?」
カミュアと
「ちょっと待ったぁ~~~~~~~ぁっ。悪魔族への差別だぁ~~~~! 断固反対しますっ!」
アーリーンはジャラジャラ音をならしながら抗議する。が、叶うはずもない。
かわいそうに…。カミュアは慈悲深い目でアーリーンを見る。
「そんな目で俺を見るなぁ~~~っ」
「ハイハイ! 始めるよ。しっかり見抜けばいいだけだよ」
「うぐぐ…」
アーリーンは言い返せない。そしてミッシェルは容赦がない。それを誰もが知っている。
有無を言わさず、カミュア、アーリーン、
「いくよぉ~。一人目! はい、誰でしょう!パネルあげてね~」
‥‥‥‥。
「
「ギャーーーーーーーーっ」
「あ"ぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー」
ブッブーという機械音とともに電流が体を走る。鎖と接着している皮膚から電流が流れ込み、頭から下へ流れ落ちるようなビリビリ感。
「ハイ! 次ぃ~。どんどんいくよ。誰でしょう!」
‥‥‥‥。
「
「や"べでぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーっ。ビリビリぃずる~~ぅぅ」
このやり取りは永遠に続くかと思われた。指導者たちの姿は完璧だった。自分達とは違う異性になったり、動物になったり。人間の目に見える姿というものを完璧に作り上げていた。
はい。おしま〜い♪ というミッシェルの声でトレーニングは終了した。指導者達は元の姿で、涼しい顔で生徒たちを眺めていた。
アーリーンとカミュアの服は電撃でボロボロ。特にアーリーンの身体は無惨だった。
「あら、意外と鍛えた美味しそうな身体じゃない~?」
「ララ。本気か?」
「まさか。冗談よ。冗談。生徒には手を出さない契約よね? 分かってるって。カイトも物欲しそうに見えるけど」
「馬鹿な」
「はい! そこまで。俺たちも仲良くやろうや。な♪」
ミッシェルは二人の背中をポンとたたく。カイトやララとは違って、ミッシェルは満足顔だ。
「ムズいよぉ~」
「☆%○□◇□$※♧‥。ぷほぉ」
カミュアは床に
「そうか?
「人には得意不得意がありますから」
「
カイトが
カイトはカミュアに目線を戻し、カミュアと目を合わせる。
「カミュアは、オーラを中心に見てるんだな。だから僕のことは見つけられる。天使族だから。でも…、ララとミッシェルの違いがわからない。内側を見るようにしないと、なかなか見抜けないよ。意識を集中するんだ。そうすれば気づくことが沢山出てくる」
「それ、始める前に教えてほしかったよぉ」
カミュアはカイトを恨めしそうに見ている。
「アーリーンは、分かるはずだろ?」
「あのなぁ、こんなことされてビリビリしてたら、見えるものも見えなくなるの。虐待だぁーー。訴えてやる!」
「あは。怒った顔も可愛い♪」
「どんな状態でも、心を落ち着かせ判断しないとな」
ミッシェルはパチンっと指をならし、カミュアとアーリーンのボロボロの服を新調する。
「また抜き打ちでやるからさ。頑張って意識を集中させるトレーニングを続けてね」
ミッシェルはそういうと指を鳴らし、姿を消した。続いてカイト。最後がララ。
ララはアーリーンに投げキッスを残し去っていった。
アーリーンは話す気力もないくらいぐったりしている。そう言えば寝不足だったことを思い出した。今日は踏んだり蹴ったりの一日。かわいそうな俺。アーリーンの心の声が聞こえる。
「アーリーン、大丈夫か?」
「あぁ、まだビリビリしてる気がする(涙)」
いつの間にか
「アーリーン、立てる? 僕に捕まって。救護室による?」
「いや、これくらい大丈夫さ」
「ほら、僕に掴まって」
小さいカミュアが大きいアーリーンを引きずっているようにしか見えないが、二人はライトの待つダイニングルームへ向かった。
「アーリーン。鼻息が荒いけど、どっか痛いのか?」
「い、いや…」
もうちょっと、あと少し屈むと…カミュアの胸の全貌が見えそうで。そして腕に何だかムニュっとした柔らかい感触をさっきから感じていて、それが心地よくって興奮してます。なんて絶対言えない。
廊下がもっと長かったらいいのに。と思わずにはいられないアーリーンだった。
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