トリケラトプス
トリケラトプスは白亜紀に現在の北米付近で生息していたとされる、植物食恐竜だ。その名前の由来はトリ、つまり3本の角を持つケラトプス科に属する恐竜ということらしい。なお、ケラトプスはケラとトプスに分けることができ、ケラは角という意味のkeras、トプスは顔という意味のopsに由来する。
特にkerasに関しては某有名AIフレームワークの名前の由来になっているし、知っている人は多いのではなかろうか?
「攻撃パターンは少なく、突進してきて角で俺たちを突き刺そうとしてくる。まあでっかいイノシシとでも思えばいい!」
そういいながら、俺はトリケラトプスに向かって突っ走り、横顔に思いきり無属性魔法を当てた。魔力を圧縮、放出する魔法で『ショック』と一般的に言われている魔法だ。
グアア!
トリケラトプスは嫌そうな表情で俺を見つめる。頭部についたフリルと呼ばれる部位が赤色に変わって、俺を威嚇しはじめた。一説によると、フリルに走る血管を拡張させて赤くすることで、自分を強く見せようとしているのだとか。
「私も負けないよ!」
七瀬さんはナイフを使ってトリケラトプスの足に攻撃を入れる。ちなみにさっきのナイフは「リモデリングナイフ」と言うものだそうで、お父さんが送ってきた物らしい。魔力を流すことでより強固に、より鋭利になる性質を持っており、また多少の傷やヒビも修復されるらしい。俺も聞いたことがなかった武器だから、別の迷宮でドロップするアイテムなのだろう。
「あれ、全然効いてない?!」
七瀬さんは、切り傷からほとんど出血していないところを見て驚いている。
「トリケラトプスの皮は厚いからな、なかなかダメージに至らない! けど、確実にヘイトはこっちに向いた」
「ほんとだ、こっち向いた! おっと、この角、結構怖いね!」
「ああ、十分気を付けてくれ。宮杜さんはもう少し待機で」
「分かりました!」
今、宮杜さんが攻撃準備をしてしまうとヘイトが宮杜さんに移ってしまうだろう。そして、トリケラトプスが宮杜さんに体当たりすると宮杜さんは攻撃も防御も中途半端になってしまう。これだけは避ける必要がある。
俺はその場で高く跳躍してトリケラトプスの背中に飛び乗り、背中に攻撃をした。トリケラトプスはフリルが邪魔で後ろを見ることができない。よって、背中を攻撃されるのを嫌うのだ。
七瀬さんはというと、奴の右斜め前から銃を発砲。弾丸はトリケラトプスの目にヒット! 残念ながらこれだけでは奴から視力を奪うことは出来ないが、大きくヘイトを向けることには成功した。
ロオオオオオ!
トリケラトプスが大きく首を振って七瀬さんを攻撃。
七瀬さんはすぐに距離を置いたが、このタイミングで距離を置くのは少し不味いかもしれない。
怒りに燃えているトリケラトプスは七瀬さんに向かって突進した!
「うわあ! 凄い迫力!」
激怒中のトリケラトプスの突進に七瀬さんは一瞬ひるむも、近くに生えていた木を上手く使ってジャンプ、トリケラトプスの背中に着地してそのままトリケラトプスの後方に避難した。
トリケラトプスはというと、なぜか動かない。いや、動けないんだ! 角が木に突き刺さって、その場から動けないみたい。
「宮杜さん!」
「はい!」
宮杜さんは十八番の氷の矢×100を準備する。俺もそれを手伝い、高威力な攻撃魔法が完成する。
「『発射します』!」
ズガガガガ!
トリケラトプスの体に屋の雨が降り注ぐ。その矢はトリケラトプスの皮膚を貫通し、奴に大きなダメージを与えた。
ルロオオオオ!
「いいダメージが出たな!」
「あ、こっちを向いた……」
「はわ、すごく怒ってますね」
これは、突っ込んでくるな。確実に。
宮杜さんにけがを負わせないよう、俺はこちらに走ってくるトリケラトプスの前に立って、シールドを生成。これだけで完全に勢いを殺すことは出来ないが多少はヘイトを俺に向けることは出来る。
また、七瀬さんのピストルも火を噴いて、奴のアキレス腱にダメージを与えた。
ロロロロロ!
「ほら、こっちだ!」
俺は無属性魔法を連続で当てる。威力よりも数を重視したいやがらせ攻撃。これがなかなか良かったようで、トリケラトプスのヘイトは俺に向いた。
「お、こっちに来た! ここだ、『ショック』!」
ちょっと、いやかなり怖かったが、俺は奴の攻撃をぎりぎりで避けて、その顔面に攻撃を食らわせた。
「宮杜さん、もう一発お願い!」
「準備します!」
◆
それから20分後、トリケラトプスのHPが尽き、奴はドロップアイテムを残して霧散した。
「やった!」
「なかなかハードでしたね」
「結構疲れたな。お疲れ様~」
ドロップしたのはトリケラトプスの角というアイテム。象牙みたいな感じで流通・加工されているそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます