事件から始まる夏休み
みんなで朝ご飯
ピピピピピピ
「ふあああ……」
目覚ましの音で目が覚めた。時刻は5時、外が薄っすらと明るくなってきている。
「……」
眠たい。あーそういえば今日は夏休みに入ってるよな。今日くらいはゆっくりしようかな……。
「いやいや。駄目だ、ダメダメ。みんなとの約束もあるし」
毎朝欠かさずしているランニング。最初は一人でしていたランニングだが、途中で七瀬さんと暁先輩、桜葉先輩が加わって、魔法杯以降は宮杜さんも加わって、徐々に徐々に参加する人数は増えて行って、今では部活メンバーのほぼ全員がランニングしている。
で、毎朝6時から走っていたのだが、誰かの提案で「夏休み中は30分早めませんか?」という事になったんだよな。
身だしなみを整えた頃、インターホンが鳴った。宮杜さんだ。
「おはよう、宮杜さん」
「おはようございます。赤木君、すごく眠そうですね?」
「いやあ、昨日の夜は家族とビデオ通話しててさ。あんまり帰れない分、ビデオ通話の時間を取ろうって話になったから」
そうなんだよ。夏休みも実家に帰ろうと思っていたのだが、紅葉さんに『帰るのは最小限にして』と注意されているんだよな。出来るだけ長い間、宮杜さんと行動を共にしていて欲しいそうだ。
なお、宮杜さんに関しては「帰省しないで」とまで言われている。帰省に規制がかかってるって訳だな! ……ごめんなさい。宮杜さんは全然それでいいとのこと。曰く、家族はフォルテをあまりよく思っていないそうで、家族とは半ば絶縁状態だそうだ。そ、そんなことが……。
「確か妹さんがいらっしゃるんですよね?」
「そうそう。フォルテメイアに来るって言ってるんだけど、どうなることやら……」
「そうなんですね。もしこっちに来るとなったら、妹さんも星寮に入るんですかね?」
「どうなんだろ? 流石にそうはならないような気がするけど……」
っとそこで再びインターホンが鳴った。七瀬さんだ。
「おっはよー!」
「おはー、元気だな?」
「うん! 昨日はいい夢を見たから! 赤木君は眠そう?」
「昨日は夜遅くまで家族とビデオ通話してたもんで。ふああ。やばい、やる気も食欲も湧かない……」
「走ってたら元気になるよ! けど、食欲がわかないのは同意だね。夏バテ気味……」
「私もです……」
「でもなんか食べないとだからなあ。二人は普段、何食べてる?」
「私は……実は朝は抜いてる……」
「あれま」
「私はシリアルを食べてます」
「あー。いいよな。冷たい牛乳と一緒に食べるんだよな」
「はい!」
「シリアルかあ……うーん。食べようかな……?」
「よかったら、走った後、三人で一緒に朝食にしないか?」
「いいね、それ」「賛成です!」
◆
走った後、俺は朝食の準備に取り掛かった。俺オススメの夏バテ対策、梅紫蘇冷や汁だ!
冷凍保存しておいたお米を解凍し、冷水で洗う。ねばねばを取って流し込むように食べられるようにするのがポイントだ。
お茶碗に入れたら、だし汁、冷水、氷を加える。
最後にシラスと刻んだ梅と紫蘇を入れて完成だ!
「美味しそうだね!」
「健康に良さそうです」
「だろ?」
「「「いただきます」」」
スプーンで一口パクリ。梅の酸っぱさが舌をピリピリと刺激し、紫蘇のいい匂いが鼻腔をくすぐり、食欲がそそられる。
「やっぱ夏は梅が美味いな!」
「だね! これなら私も食べれそう」
「美味しいです。お米ってねばねばしてて食べるのが疲れるからあまり好きじゃなかったんですけど、これは美味しいです」
「それはよかった。宮杜さんはパン派なのか?」
「あー別にそういう訳では。パンもパンで、噛んでいるとねばねばしてて飲み込みにくいですし……」
「「主食をどっちも否定?!」」
「ああ、否定しているわけでは。どちらも、普通に食べるのですが、夏の朝に食べる気にはならないってだけで」
まあ気持ちは分かるかも? だからこそ、俺も冷や汁にしてお米をかき込んでいるんだし。
「朝、パンを食べるとしたら……俺ならフルーツサンドにするかなあ。お菓子作りのあと、余った生クリームを使ってさ」
「フルーツサンド! いいね~」
「なるほど!」
「二人はフルーツはお好き?」
「好きだよー!」
「私も好きです。ヨーグルトをかけて朝から食べたりすることもあります」
「あーそれも美味しそうだなあ」
そこから、夏の朝ごはんは何がいいかの議論を重ねながら、俺たちは朝食を楽しんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます