壊れゆく庭園、裏√
<死>
・橋を越えて克服せよ
・ふたご座、てんびん座、うお座(対をなす者)
<暗殺者>
・騎士をもって制せよ
・かに座、さそり座、いて座(
<裏切者()>
・我らに道を開くだろう
・へびつかい座
<呪い>
・薔薇で浄化せよ
・その他
◆
「ということで、壊れゆく庭園の裏ルートをクリアしようと思います~!」
「いえーい!」
「まだちょっと怖い……けど頑張るね!」
「私も、頑張ります!」
暁先輩は目をキラキラ輝かせているが、七瀬さんと宮杜さんはそんな余裕はなさそう。まだホラー演出に対する耐性ができていないようだ。まあ、実はその心配はないんだけどな。
俺たちがいるのは51層に入ったばかりの所。ここから、先に示した指示通りに進めば裏ボスに挑むことができる。
なお、ゲームでは毎回出題される問題がランダムに変わっていたから、俺も正解の道を知らない。だから真面目に隠されてる星座を探しながら進まないといけない。
「まずはここ。そこのツボにみずがめ座のマークが描かれているから……」
「ほんとだ!」
「薔薇で浄化せよ、でしたっけ?」
「じゃあ、向こうのバラの花のアーチを通ればいいのかな?」
右に曲がって次のエリアへ。そこは中央に小さな
「石像が怪しいかな?」
「そうですね、調べてみましょうか」
東西南北の順に虎、虎、雷(と思われる)、人(誰かは不明)を象った像がおかれていた。それら像をくまなく調べても特に星座っぽい物は描かれておらず、また中央の東屋を探しても何も書かれていなかった。
「虎がいるし、しし座じゃない?」
暁先輩が投げやりにそう言った。
「しし座の元はライオンだから違うと思いますよ」
「だよね~」
「虎が東西に置かれていることが関係しそうだよね」
「前門の虎、後門の狼……。関係なさそうですね、すみません」
「ちょっと整理してみましょう。今こうなってますよね」
人
虎□虎
雷
「なんだかこれ、和同開珎みたいですね」
宮杜さんがそう指摘した。
「和同開珎?」
「あ、えっと。クイズとかでよくある『ここに入る漢字は?』っていうやつです。虎に続く熟語なんて無いと思うので、今回は違うと思いますが」
「人と雷だけなら『魚』が合うよね! 人魚と魚雷で」
「なるほど。じゃあ虎魚、魚虎。そんなのありましたっけ?」
「あるはず! 虎魚はオコゼで魚虎はハリセンボンだったと思う!」
「「「じゃあ……!」」」
「うお座ですかね。『対をなす者』なので『橋を越えて克服』ですね」
「向こう、小さな石の橋があるよ!」
「じゃあ向こうへGo!」
◆
次のエリアは地面にでかでかと星座が彫られていた。その次のエリアはみずがめ座の石像がおかれていた。
とそんな感じで簡単な問題が8問ほど続いて……。
「こうサクサク進むとちょっと不安になるのは俺だけ?」
「ちょ、不吉なことを言わないでよ!」
次のエリアはおおよそ長方形の形の広場だった。その四つの角のうち3つには噴水があり、そこから中央へ向かって小さな川が流れている。
そして中央には四つの噴水が噴き出ている。
「物が少なそうですし、地面に彫られてますかね? みんなで探しましょうか」
地面に模様が彫られていないか、川の中にそれっぽいものはないか。俺たちはくまなく探す。
「こっちはなかった!」
「こっちも!」
「見つからなかったです」
「なかった……」
「うー! ……面倒な奴かあ」
「さっきみたいにクイズっぽいものなのでしょうか?」
「だとすると……。あ、そうか! このエリアって上から見たらさ」
※・の位置に噴水
・ ・
・・
・
「こんな感じじゃん?」
「あ、この形!」
「かに座!」
「してやられたなあ」
◆
その後、いくつかある問題のパターンをこなしながら進むこと30問目で俺たちは屋敷の目の前にたどり着いた。
「……あれ? そういえば集中してたから気づかなかったけど、全然庭園が壊れてない……」
「ほんとだ! お屋敷も綺麗!」
「前に来たときはただただ不気味な屋敷でしたが……本当はこんなにもきれいなんですね」
そう、壊れゆく庭園を正しい順序で進み続けることができたら、庭園が壊れないのだ。なお、途中で一回でも間違った道を通ってしまうと、最初からやり直さない限りこの「きれいな屋敷」にはたどり着けない。
これが「壊れゆく楽園は小区画ごとに階層が分かれている」の真相だ。小区画、つまり問題ごとに空間が断絶していて、ランダムに選ばれた問題を解くという訳だ。
「早速ボス戦に行こう!」
先輩が屋敷の中に入ろうとしたので、俺はそれを制止した。
「おっと先輩。ちょっと待ってください! 先に大事な話があります」
「大事な話? ……まさかここでプロポーズ?!」
「ではなく。ここの裏ボスについての注意事項を話しておこうと思います」
「? どんな魔物がいるか知っているの?」
うむ。こう聞かれることを想定して、実は文献を漁ってきたんだ。そしたら海外の事例だけど、似たようなものがあったらしい。という訳で、その論文を三人に広げながら俺は説明する。
「これは海外の事例なんですが……。ここに書かれている内容とこの場所がちょっと似ている気がしまして。もしかするとここは『物語ボス』かもしれません」
「「「物語ボス?」」」
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