迷宮攻略を振り返る

 ドラゴン肉実食パーティーが終わってから一週間、俺たちは毎日迷宮に通い、無事50層ボスを倒すことができた。その過程を軽く振り返ろうと思う。


 まずテスト明けからパーティーまでの間に44層まで攻略したわけだが、ここで現れる魔物は次の二種類+一種類だ。



【ゴースト】


 実体を持たず、基本的に魔法でしか攻撃できない敵。ドロップアイテムは対応した大きさの霊石である。あ、霊石というのは魔石とほぼ同じ働きをする鉱物で、ゴーストに代表される実体を持たないから魔物からドロップする。

 なお、専門家に「魔石と霊石ってどれくらい違ってるものなんですか?」と聞いたところ「アルカリ乾電池とマンガン乾電池くらいの差」と教えてくれた。うーん、要は「ほぼ同じ」ってことでいいのかな?


 ゴーストの特徴としては、大きさがまちまちで大きいものほど強いという性質がある。

 深い階層ほど大きなゴーストとエンカウントし易くなり、41層にいるのは直径30~50センチの小型がメインだが、44層になると直径1メートル前後の中型がメインになる。49層まで行けば直径2メートルほどの大型とたびたびエンカウントするようになる。


 中型・大型のゴーストは氷魔法と呪いを使ってくる。呪いは当たってしまうとじわじわと体力が削られる異常状態で、休憩すれば一定時間で消える。


 光属性が弱点だから、海賊のピストルを使いこなす七瀬さんが大活躍だった。



【紫キノコ】


 名前の通り、紫色の巨大なキノコだ。具体的には、高さ50センチ、笠の大きさが直径1メートル前後ってところ。キノコではなく魔物なので動くことができるのだが、その速度はカタツムリほどと結構遅い。


 色合いから想像できるように、こいつの能力は毒だ。毒の霧を発射する能力があり、下手に近づくと危ない。ただ、何度かヒット&アウェイすると胞子が枯渇して攻撃できなくなるので、後はどうとでもなる。


 切断攻撃が弱点だから、カッター系の魔法を使うのがおすすめ。



【ビリビリシメジ】※魔物ではない


 美味しくいただいた奴だな。踏むとダメージを受ける。

 これは地形なので、動いたりはしない。



 そして、パーティー後、一週間かけて攻略した45~49層の魔物はこんな感じ。ゴーストや紫キノコ、ビリビリシメジに加えて以下の二匹が現れる。


【帰らぬカエル】


 大きさ3メートルほどもある巨大なカエル……の骨格。

 スケルトンのカエル版、みたいな感じだ。光属性と衝撃系魔法が弱点で、ある程度強い衝撃を与えるとバラバラにすることができる。ただしスケルトンと違って、帰らぬカエルはバラバラになっただけでは死なず、時間経過で復活する。最後まで油断せず、ドロップアイテムを残して消滅するところまで確認しないといけない。

 七瀬さんが騙されそうになってちょっと危なかったけど、俺たちですぐにフォローして事なきを得た。


 攻撃パターンは飛びつき→噛みつき or 呪い噴射の繰り返しだ。


 まずは飛びつき。高く飛び上がり、俺たちを下敷きにしようとしてくる。骨格だけになっているとはいえ、かなりの重さだからな。踏まれないようにしないといけない。

 着地後5秒間の硬直があり、この時にダメージを与えるのがいい。


 硬直が明けると噛み付きか呪いの噴射をする。嚙みつきをよけるのは難しいが、呪い噴射は予備動作に1秒以上かかるから、慣れたら避けることができる。



【ムッシュマッシュ】


 二足歩行する筋肉質なキノコ。な、何を言ってるのか分からねーと思うが、俺にはこうとしか表現できないんだ!

 もう少し丁寧に説明すると、見た目はなめこに手足が生えたような姿をしており、ガタイが良く男性っぽい印象を受ける。


 紫キノコと違って歩行能力があり、走りながら毒の胞子をまき散らす攻撃をしてくる。キノコが長い手足を振りながら迫ってくるのはホラーとしか言いようがない恐ろしさがあり、初見の時は七瀬さんと宮杜さんが「きゃああああ!!」と驚いていた。


 ドロップアイテムはN、R、SRの順に「マッシュルーム」「薬用キノコ」「マッスルーム」だ。

 薬用キノコは魔法化学(科学ではなく化学)的に処理すれば色々な薬になる。

 マッスルームは食べると強靭な筋肉が手に入るキノコ……ではなくたんぱく質が豊富なキノコらしい。筋トレが趣味の人がこれをよく食べているな。地球で言うところのささみみたいなポジションだな。



 そして最後につきさっき討伐してきた50層ボス、「ディストピアアンサンブル」についてお話ししよう。


【ディストピアアンサンブル】


 嘆き声を上げる幽霊の軍団。魔物を召喚する能力を持っており、迷宮の1~49層に出現する魔物の中からランダムにを5~10体召喚する。


 キャプテン同様、ボス戦開始時点では本体を攻撃することができない。召喚された魔物を順番に殲滅せんめつすれば、本体のバリアがなくなって、本体を倒すことができるという流れだ。




 というわけで41~50階層は攻略完了。ここからは本命の51~60階層の攻略に移ろうと考えている。その名も「壊れゆく庭園」。迷宮の中で最も異質な階層の一つである。




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