作戦会議2
「という訳で、作戦会議二日目だ。各班が取るべき作戦を大雑把にまとめてきたから、確認の意味も込めて読んでみてくれ」
作戦会議二日目。俺は用意して来た資料を配布した。
「
まずは攻略斑。
他チームの拠点を落とすのに特化した役割で、ある意味一番大変な役目だ。点数が大きく変わったタイミングでドンと落とす、「ミリ残し&デストロイ」を極める必要がある。敵の邪魔が入ったりするから、それをどう上手く対処するかが勝敗を分かつ。
」
「つまり、敵の拠点の残りHPを確認しながら戦う必要があると?」
「そういう事だな。ミリ残しをしないといけない場合は、おおよそ75%くらいを維持しておくのが良いと思ってる」
「逆にしなくてもいい場合ってあるのか?」
「
例えばタイムアップ寸前に逆転勝ちを狙う時は、ミリ残しとか関係なく、とにかく落とす必要があるな。これが、なかなかに大変な作業になる。というのも、防衛側は戦闘不能にならないのだから、代わりに足止めや目くらましを活用しつつ杯玉に接近&攻撃しないといけない。そういう魔法が使えるメンバーを攻略斑に割り当ててるから、選ばれてる人は特に練習しておいてほしい。
」
「あれ、防衛メンバーを攻撃しても、杯玉にダメージが入るよな? だから杯玉への直接攻撃は諦めて、防衛してる人を叩くんじゃあダメなのか?」
「どうしても杯玉に近付けないならそれでもオッケー。だけど、直接杯玉を叩くのが一番効率よくダメージを与えられるから」
「そっか、なるほど」
「
次は防衛。
基本的に攻めてきた敵を倒すだけのお仕事……という訳ではない。「○○組を集中攻撃」とか「○○組に敢えて落とさせる」というような指示を受ける事があるから、それに沿って行動する必要がある。
だから、闇雲に全体攻撃をかけるのは駄目。特定のチームを退けるような練習を行う必要がある。
」
「結構難しそうだな……」
「かなり難しいぞ。さっき言ったように攻撃班はラストスパートに厳しい戦いを強いられるけど、防衛斑は『最後よりもちょっと前』あたりでややこしい戦い方をしないといけない」
「なるほど」
「
また、どのタイミングで防衛を始めるかが重要になる。極端な話、誰も攻めてきていないのに防衛しても意味が無いからな。有名なセオリーは、防衛斑を3つに分ける方法、『時間稼ぎ特化』『防御をしつつ反撃もする』『反撃特化』の三グループに分ける事になる。
時間稼ぎ特化の人は、試合終了15分前くらいには拠点に戻っておいて、攻めてくる敵の足止めや、罠の設置を行う。
反撃特化特化の人は、試合終了5分前くらいに拠点に戻って、攻めてくる敵を倒す事に集中する。
防御をしつつ反撃もするはその中間だな。10分前を目処に、拠点に戻ればいいかな。
また、リスポーンしたクラスメイトをスムーズに拠点外に出すような動きも練習する必要がある。これは基本的には運搬係の役目だが、時と場合によっては防衛斑が担う事もある為だ。
後で防衛斑は集まって、自分が『時間稼ぎ特化』『防御をしつつ反撃もする』『反撃特化』のどれに当てはまるか相談してくれ。
」
◆
「そういえば、伊藤ってテイマーだよな? 今は何をメインで使ってる?」
各班に分かれて作戦会議をしてもらっている間、俺は伊藤に話しかけた。彼はテイマー。テイムするモンスターによっては、魔法杯で大きく活躍できるはずだ。
「雷稲荷だな。なんやかんや、一番扱いやすくて、しかも強い」
「なるほどな。いい選択だと思う。ちなみに、同時に出せるテイムモンスターって何匹まで?」
「残念ながら、一匹までだな。一応二匹出せなくはないけど、二匹目は密着してないと指示を出せない」
「なるほど。それならさ、ちょっと35層に行かないか?」
「35層か。……35層?! なんで? 俺まだ、15層のマロンマロンがやっと倒せるかどうかって所なんだけど?!」
「いやな、35層にいるオバケダコをテイムしてもらおうかなって思ってさ。オバケダコの魔法『墨吐き』が目くらましにちょうどいいんだ」
「35層かあ……。そもそも、35層の敵なんて、テイムできるかな? 敵の強さに応じて、テイムの難易度って上がるんだろ?」
「ああ。けど、二匹同時にテイムできるレベルなら、オバケダコも余裕でテイムできるはずだ。今日の放課後、一緒に行こう」
「マジか……。赤木がそう言うなら、それを信じるか。パーティーメンバーは?」
「誰でもOK、だけど自分で自分の身を守れる人にしてくれ」
「分かった。いつも3人で組んでるから、そのメンバーでいいか?」
「柏木と佐藤?」
「イエス」
「その二人なら安心かな。けど、二人は部活があるんじゃ?」
「あるだろうけど、こっちを優先すると思うぞ」
後程確認を取ると、二人とも二つ返事で了承してくれた。曰く『キャリーしてもらえる機会なんてそうそうないからな!』とのこと。ホントにいいのかなあ? まあ二人が「良い」って言ってるんだし、俺が不安がっても意味が無いか。
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