嫁 ヨシエ （オリジナル地元言葉 バージョン）

そこまで言うか？

　嫁ヨシエの我が家での発言には躊躇がない。結果、残酷なことを平気で言う。

　テレビで浅田真（※1　　）央の特集（？）をやっていた。最近の映像らしく曲は“白鳥の湖”が流れている。

「こんな曲を選んだらタイトル負けしない演技をせんなんから逆にデメリットの方が多くならんかね？」

「浅田真央やからまだ許せるがでない？これが伊藤み（※2　　）どりやったらあんた“ガチョウの湖”やよ」

　夜、自宅の電話が鳴る。普段はヨシエがとるが鳴り続けるところをみると手が離せないらしい。別の階でモリタが出る。

「○○の××と申しますが高校１年のお子さんのお母様はいらっしゃいますか？」

どうやら通信教育の勧誘。仕事柄、電話営業の辛さはよくわかる。でも以前正直に取り次いだら

「何でこんな電話まともにつなぐがけ！すぐに要領よく切れんでどうするが！」

と罵倒されたことがある。

「うちに高１の子供はいませんが・・・」

と嘘をつく。

「えっ？確かカズヤ君というお子様がいらっしゃいますよね？」

･･･さすがよくご存じで・・・でもさらに嘘をつく。

「それがいないんですよ・・・」

「・・・そうですか・・・どうも失礼いたしました・・・」

「・・・いいえ、どういたしまして」

・・・ということがあって数分後

「さっきの電話、何やった？」

これこれこんな電話でカズヤには悪かったかも知れんけどうちにはおらん言うたら終わったわ、と言うと

「ハハハハ！アンタにしてはよくできたないけ。こないだアタシそんな電話かかってきた時『うちの子、成績についてはなんの心配もありませんので結構です』って言うたったわ！ハハハハ！一回言うてみたかったが！こんな時じゃないと言えんないけ、キャハハハハ・・・・・・バレとるかねぇ？・・・・やっぱり？・・・・」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2013年2月

※1　浅田真央

2000年代から2010年代にかけて活躍した日本のフィギュアスケート選手（女子シングル）。シングルの選手で男女を通じ史上初めてファイナルを含むグランプリシリーズ全七大会を制覇。

※2　伊藤みどり

日本のフィギュアスケート選手（女子シングル）。　1992年アルベールビルオリンピック女子シングル銀メダリスト。1989年世界選手権優勝。