どんな生物でもこれは効くよね
私──
だって、神様から「神様になってみたいか?」と問われ、「はい」と答えてこの世界にやってきたのだから、絶対に間違いない。
私がこの場所へとやってきたのも、神レベルを上げるため。
世界の脅威を、決められた割合にまで下げればクリアになるらしい。
神様のままだと何かと制約が多いので、レベル六の特典である、生み出した世界に降り立つ権利を行使した。
地上に
人間の
普段は人間並みに制限されているけど、ドラゴンに踏まれてもそう簡単には死なないという自身はある。実際に試したことはないけど。
それに職業は
「さてと……」
再び、
制限を解除すれば簡単に片付けられるんだけど、しばらくこの国に滞在するつもりなので、できれば変な誤解……でもないけど、せめて人並みの能力で退治したいと思ってる。
……そうだ。
「その銃、借りてもいいかな?」
「だ、ダメに決まってんだろ。この銃は兵士の命だって、知らねぇのか」
「そうなんだ……残念。それがあれば、アレを倒せるのに」
見るからに粗野な男が、怒気をまとわせつつも面白そうにニヤリと笑う。
「ほう……。この銃のことも知らねぇ素人が。やれるもんならやってみやがれ」
ドンと胸を突くように銃を渡された。
「キャッ、どこ触ってんのよ……」
「わ、な、何言ってんだ。わざとじゃねぇし……、いや、当たってねぇだろ」
「まあいいわ。ちょっと借りるね」
触って少し調べれば、使い方や性能はすぐに理解できた。
念の力を弾に込めて撃ち出す銃。
だったら……
「おい、嬢ちゃん。前、まえっ!」
地響きがしているのだから、ちゃんと気付いている。
兵士たちを巻き込まないようにと、私も
あの男の驚く声が聞こえたけど、今はどうでもいい。
ガチガチの鱗に守られて、突進するかブレスを吐くことしかできないと思っていたのに、思ったよりも動きが早い。
歩く速度は遅いけど、腕や口、尻尾などの瞬発力が尋常じゃなかった。
「私じゃなきゃ、死んでたね☆」
鋭い爪の一撃をひらりと避けて、その腕を踏み台にして飛び上がる。
狙ったように巨大な口が迫って来るが、私はそれを待っていた。
白く輝く光弾を、口の中へと撃ち込む。
これでもう、迂闊に口は開けないはず。
じゃあ次は……
地面を走りながら
続いて、切り裂かれた傷口に向けて、光弾を二発。
「あとは……」
いい方法を思いついたけど、さすがに実行をためらった。
「まあ……、私のじゃないからいいよね」
動物ならば必ずある部位、排泄口。そこに銃身を突っ込んで光弾を連射する。
「これは効くよね……いろんな意味で」
尻尾の一撃をひらりと躱し、背中の上を走る。
当然、振り落とそうとしてくるけど、もうロクに動けないのか抵抗は弱い。
さあ、トドメ!
首の付け根で立ち止まると、緑の銃弾──風の刃で鱗を剥がし、青の銃弾──氷の槍で貫き……
「あれ? 壊しちゃったかな……」
念を込めても
不思議に思って調べると、ただの弾切れだった。
その目の前に新たな銃が現れた。
宙を舞うそれをジャンプして手に取ると、黄色の銃弾──最大出力の雷撃を、
シュタッと地面に降り立つ。
「はいこれ。あなたの銃よね。助かったわ」
「ああ、役に立ったのなら良かったよ」
「えっと……、こっちのは、あなたのよね。ほら、ちゃんと倒したでしょ?」
「いや……まだ、動いてんだけど……」
「あっ、大丈夫、ちゃんとトドメは刺したから」
神経に高圧電流を流したら、どんな生物もイチコロなはず……
しばらくゆらゆらと首や尻尾を揺らしていた
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