第24話 白と黒とグレー 前編

俺のいじめられる原因は嫉妬というものか。


嫉妬と聞いて人は何を思い浮かべるだろうか。


中学生ながら大人ぶって考えてみる。


大衆は嫌な意味で捉えることが多いと思う。


嫉妬という言葉にもう嫉妬が含まれているのだから。


だが、物の見方は人それぞれで視野を広げて考えてみるとまた新しいことも見えてくる。

嫉妬はその人のことを尊敬している証だと、、。嫉妬ができる人は素直な人だと。


でも実際そうだろうか。今までした経験のなかに嫉妬で始まったいじめはあるが、よい人間関係を築けたことなんてほとんどない。


であるのなら、嫉妬などという概念は、ある種もともと悪く使うのが正解なのである。


悪い言葉には必ず人間の負の感情が紛れ込んでいるものである。

しかし人間は自分の負の感情を増殖はできるが、負の感情を消すための抑制することはできない。



では、どうするべきか。



思考を閉ざして、今ある景色のドアを開いてみる。



だが、運が悪いのか顔が悪いのか、


またまた全て悪いのかわからないが、ドアの外にある景色を眺めても、外面だけはほとんど思考とほとんど変わらなかった。


まあもともと梅雨のこういうじめじめしている感じは人間が不快と思うように仕向けられているのだ。不快指数をみればわかる。



そんなにおまえらも変わらねえんだな。あいつらと。


そんな益体もないことを考えながらも、ちゃんと自分の落ち着いた場所が欲しいと、貪欲に足を進める。


というか、ゆっくり歩きすぎてさっきから時間が経ちすぎている。これもう授業にでなくてもいいんじゃないか。


と、甘い思考に縋りたくなるが生憎、俺は平日なのに学校にいかず遊びまくってる低偏差値らを目指してるわけでも、ヤンキーを信仰しているわけではない。


それと、

そういう奴らと一緒のくくりにされたくねえんだよ。



俺にだってプライドがあるのだ。


暴走する思考を抑えながらまた歩を進める。

こんな田舎だからなのか理由は定かではないが平日の昼頃は車の通りなんてほとんどない。車の騒音問題なんてないし、田舎の夜は静粛とした様子だ。


しばらく歩くのに集中して、ぼっーとしていると学校までもうあと少しの所まで来た。


ちらっと目線を正面に向けると遠くに中学生にしては幼く、可愛らしい容姿が映る。


彼女は歩道沿いに設置されたベンチに座りながら誰かを待つようにジタバタ足を揺らしながら不満げな顔をしている。いや、少しばかり期待している顔でもあるように見えた。


その風景はしとしと降る雨と相まって妙に絵になっている。


なんで、こいつはこんなにも・・・・・。


しょうがないと俺は肩をすくめながら、俺はそやつに近づく。


彼女は近づく俺の気配を感じ取ったのか、こっちを向き、走ってやってくる。


「遅いよ。薫」

彼女は不満げな声を上げながらもそれとは裏腹に穏やかな顔をしている。


「学校まであと、100mもねえんだからさ、先行ってくれたらよかったのに。」


「そんなわけにはいかないよ。薫と約束したでしょ。一緒に行くって。」


「いやまあ、そうだけど・・・。取り敢えず行きますか?」


「うん。」

彼女は満面の笑顔で頷いた。


さあさあ、俺の思考が冴えきったところで


先程のクエスチョンに対しアンサーを与えてやろう。







A,負の感情を増殖したまま、その怒りを限界まで発散させればいい。そうすれば、彼ら彼女らも満足するはずである。


俺的には、それがベストな選択というものである。





学校


「ガラララララ」


俺は意を決して教室のドアを開けた。ちょうど給食の時間だったようで、放送で流れるイマドキといえる音楽を聞きながら至福の時間を過ごしている様子を感じられる。



教室に入るとクラスメートのざわめきが止まらない。一瞬俺っていじめられっこから、人気者に昇格したのかあっと思ったが、このざわめきはきっと、(薫待ってたぜ。親指立てる)

の方ではなく(ハア〜ナンデ、アイツキタノキッショ)の方である。


そもそも日本社会でそんなに早く出世しねえよ。舐めんな労働者。


「薫さん。学校に来たのですか。今朝、欠席の報告があったはずですが大丈夫なんですか。」

先生は若干戸惑ったように俺を見ながら、不思議そうに聞いてくる。


「いや。まあ欠席するつもりだったんですけど、体調良くなったんで学校に来ました。すみません。今のタイミング邪魔っすよね。」


流石に給食の時間に来るのは対応に困るよな。


「そんなことないです。体調が良くなったんなら何よりです。しかし薫さんの給食はもうおかわりでなくなってしまったのですが、昼食は家で食べてきましたか?」


肯定の代わりに頭をふると、先生は安堵の表情を浮かべ、、


「では、自分の席で給食の時間が終わるまで何かしらして待っててください。」

っと、優しい音色で言った。


てくてくと自分の席まで歩いていくと、奇妙なやつだなあとみんなに一瞥される。

というかもう睨まれてる。視線で殺される。ひゃああ怖いいい。



「ガララ」

椅子を引き自分の席につきながら、俺は一呼吸つく。


しかも、まあ徹底してるなあ。流石に先生がいるから下手なことはできないはずだが、教室全体の空気が直に伝わる。俺、これを変えるのかあ。今更なぜか自分のやる行為を諦めたくなる。っつかこれ無理よ。


でも、やるしかないのである。




放課後






俺は、ある計画を進めていた。














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