第13話 打ち上げと神様
帰宅
はあ~。なんか色々あったが無事、智樹告白大作戦は成功し、幕を閉じた。
それにしても、智樹の告白は最高に格好良かったと思う。生徒会長さんは、もう女の目になってたもん。僕ちんビックリしたよ。俺もおちそうになったもん。ひゃあ!!智樹エンドは、嫌だ。
そんなことを考えながら俺は、今日の夜をめちゃくちゃ楽しみにしていた。
何故かって?そう!アルテミスと約束していた打ち上げがあるからだ。この一週間全然休めずずっと思考に費やしていたから今はとても疲れている。その疲れをアルテミスの顔を見て癒やして、最高の思い出にするのだぜ。まああいつ変なやつだけど容姿はいいからな。容姿だけは。おい作者、大事なことなので2回言いましたのテロップ貼っとけよ。
※大事なことなので2回言いました
ところであいつの好きな食べ物って何かな?まあ俺が好きなもの全部乗っけるか。言わなかったあいつが悪い。飲み物はお茶で充分だよな。多分。あと打ち上げの日時は今日で合ってるのかな?未来を見れるんだから今日解決する事も分かるのだと思って食材の準備はしたが、合ってなかったらムカついて来週一週間学校サボる。いや、仮に合ってたとしても俺は学校サボるな。よし、準備完了。
じゃ寝ますか。
神様 今日だけでもいいので、俺を天国に連れて行ってくれ。今日自分でもよく頑張ったと思う。だからお願い!!!!!俺を連れて行かしてええーーー。
天国
「こんにちは。柊薫さん。」
よっしゃー。ふぅ~アルテミスは今日も顔だけはいいな。
「おう。こんにちは」
「ふふっ。いっぱい持ってきましたね。そんなに私と打ち上げしたかったのですか?」
からかってるのか?こいつ。まあ実際そうなんだけど。でもアルテミスに自分の思考を見透かされているようでムカつく。
「まあこの一週間ずっと思考に費やしていたからな。やっと休みが来て良かったと思ってるよ。」
でもずっと思考に費やしていても最低な方法しか考えられなかった俺はやっぱ最低だな。
「それより、これからの智樹さんとの関係は大丈夫ですか?」
アルテミスは心配してくれてるみたいだ。まあ嫌われる可能性も分かった上でこの方法をしたからな。覚悟は出来ている。
「まあ、嫌われるのは仕方ないよな。実際最低な方法だったし。覚悟は出来ている。」
「あの方法は何も知らない人からしたら最低しか思われないと思いますが。ただ、」
ドックンと心臓の音が鳴る。
「少なからず私はカッコいいと思いました。」
胸の鼓動が早くなり、体も火照ってきた。あれこんなに天国って暑かったけ。
「だから私はあんな方法をしたあなたが心配です。」
何が?心配なんだ。
「大丈夫ですか?」
神様は真剣な顔しながら言った。
言わせないでくれ。ちょっと考えられる人ならこんな質問されたらどう返してしまうかもうわかるだろう。
「全然、大丈夫だ。あとこのやり方は初めてじゃないしな。お前が心配することじゃない。」
アルテミスはまだなにかを聞きたそうな顔をしていたが、俺は話をそらすことにした。
「ああ、そうだ。ずっと聞きたいことがあったんだが。」
なんですかとアルテミスは視線を返す。
「俺を天国に行かせられる日を教えてくれないか?」
まあ、ほら準備とか色々あるからさ。
「それは気分によって変わるのでなんとも言えません。」
へっ?
なんか凄いこと言ったぞこいつ。って、ああこいつ神様だった。目上の人には礼儀正しく。
「気分なの?」
「はい。」
と神様はあたりまえの如く平然と言い放った。
いやいや、俺じゃあなに、気分によって来させていったんだね。なにそれ、俺神様に操り人形にされているみたい。なんかやだ。
「えっ、じゃあ俺が来れる日は未定ってこと?」
アルテミスはなぜかイライラしている。
「そうだと言ってるじゃないですか。薫さんは国語弱いんですか?」
アルテミスの方こそ国語の勉強した方がいいよ。ほら人の感情の動きとかね。
「それじゃあさ、気分によって変わるんだったら自分で日にちを決めてもらうことは出来るかn」
「出来ません。もしかしたら薫さんの顔をみたくない日も来るかもしれないじゃないですか?」
さも、当然かのごとくアルテミスは言う。あ、はい。うっす。あれ。こいつ前俺に告白した奴だよな。なんか妙に俺に対する態度が冷たい気がする。ううん。気のせい、気のせい。『薫さん。好きです。付き合ってください』(脳内補正)よし大丈夫。
「わかりました。把握です。」
なんかすんません。
「そんなことより早く料理準備してくださいよ。持ってきたんでしょ。」
アルテミスはもう待ち切れられないというようにさっきからずっとじたばたしている。なんか子供みたい。
ふうー。ようやく食材紹介か。長かった。ここまで来るの本当に長かった。
「よし、今回持ってきたのはな、なんとな、、」
「はい!」
目を輝かせてながらアルテミスは返事をする。
「カップラーメンだ。」
「は?」
アルテミスの口が固まっている。
「今回持ってきたのはカップラーメンとお茶だ。さあ乾杯しよう。しっかりアルテミス用のコップも用意したから安心しろ。」
アルテミスは驚いた顔で俺を見つめる。そんなに嬉しかったのか。僕ちんもアルテミスに喜んで貰えてうれしいよ。っとそんなことはなかったらしくアルテミスは俺が持ってるふろしきに目を移す。
「まさか、そのなかには入っているものすべてカップラーメンなんでしょうか。まさかね?そんなことあるはずはな…………」
「ん?なにいってるんだお前。そんなの当たり前に決まってるじゃないか。ほら。」
俺は持ってるふろしきの中身を全部出し、アルテミスに見せつけた。何て幸せな光景なんだ。コンビニにあるカップラーメン全種だぞ。最高じゃないか。やっとわかった。俺はこの為に一週間頑張っていたのだ。一人でうんうんと納得しているとアルテミスが信じられないくらい顔が真っ青になっていた。
「ガーン。」
おっと、声が出るがっかりの表現初めて聞いたな。
「お前が俺が行く前に好きな食べ物言っておかなかったのが悪い。」
文句があるならもう知らないもんね。
「そうなんですけど、、。せっかくなんですからもっと豪華なものを持って来てもいいじゃないですか。」
っとアルテミスはブウブウ文句を言っている。はあ。これだから天国にいるお偉いさんは。まったくわかってない。
「庶民の味と言うものをもっと理解した方がいいと俺は思う。豪華なものよりも庶民のものの方が俺は思い出に残りやすいとおもう。実際お袋の味って言葉もあるしな。ああ、昔これ食べたなあってふと大人になって思い出すのがいいのだ。」
自分で言っててちょっと違うなあと思う。じゃあ俺のお袋の味はカップラーメンなのか、、。カップラーメン好きに恥ずかしさを覚えず逆に誇りすら思って、ずっと今日まで生きていた俺がいまちょっと恥ずかしくなっている。やだ、はずかし。
「へ、へえー。ま、まあじゃあとりあえずね。」
本当に神様はかわいそうな子をみるような目線でみてくる。
ありゃ、はずかし。
「そ、そうだな。」
なんか気まずくなってきた。
コツンと互いのコップが触れあう音が鳴る。とてもきれいだ。
「「か、かんぱーい。」」
気まずいけど、、、、、。さあ打ち上げの始まりだ。今日は金曜日。ていうことは、あしたは休み。そんなことも忘れるくらい今日はいっぱい楽しもう。
静粛な夜に二人の笑い声が響き渡る。
この思い出も
ふと、大人になって思い出すのだろう。その頃には、俺もしっかりした大人になっているのだろうか。未来は神様にしかわからない。俺はその未来を変える気もないし、変えられる能力も持っていない。ただ、俺たちに出来ることはその未来が輝かしいものになると信じることだけだ。だから、俺はいつもどこかで小さな、いや、手が届かないほど大きいかもしれない。そんな不恰好で曖昧な夢をずっとみている。
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