第11話 前編 生徒会長と柊薫
さ、始めるとするか。俺は神様に託された思いをとぎらせないように慎重に考える。俺が今できること、何やってもうまくいかない気がするが、やるしかない
問題一として、まず智樹が、振られること。それを可能性として考えなければならない。その場合に対処が必要である。神様がいった時間がないと言うことは智樹はもう覚悟が出来ているってことだ。振られた場合智樹は確実におかしくなる。あいつあんなだけど多分彼女いたことがないからそういう耐性がなさすぎると思う。仮に生徒会長が智樹の事が好きだった場合もあるが、あの感じだと、あの二人は関わりを持っていないと思う。それで告白とかマジでふざけてるよなあいつ。なんかイライラしてきたよ。
対処として
·慰める。それで解決するなら悩んでねーよ。却下
·他の子を勧める。あいつ変なところで真面目だし自分で本気って言ってから多分本気だろ。却下
·告白させない。でも、本気で智樹は恋しているんだ。その気持ちを蔑ろにするのは俺のしたいことじゃない。よって却下。
人間関係が絡まるととてもめんどくさくなると言うことが改めて良くわかった。
あれは違う。これも違うと俺は熟考しながら学校に向かった。
学校
「なあ、智樹お前いつから生徒会長のこと好きなの?」
「なんだよ、、いきなり、えっとなちょうど一年前俺さ部活であまりいい結果が残せなくてちょっと病んでたのな。その時君ならできるって笑顔でいってくれたんだよ。その時に一目惚れしたな。」
「へー。良い人そうじゃん。その頃からずっと好きなんだ?」
「そうだぜ。」
「ありがとう。じゃ俺そろそろ授業の準備しなきゃいけないからまた。」
「早くないか?授業開始まだまだだぜ。」
「早く準備したほうがなんか気が楽だろ。じゃまた。」
「お、おう。またな」
人を好きになれるって案外凄いことかもしれない。そんなことを考えながら
俺は急いで3年教室に向かった。
3年の教室は受験が近いからか、ピリピリしている。
「あのすみません。」
「おう。どうした。えっとーー」
君の名前何?って聞かれるのはなんか嫌なので自分で名乗ることにした。
「柊薫です。」
「柊くん。どうした?」
「あの、生徒会長って誰ですかね。ちょっと困ったことがあって」
「君さ水菜を知らないの?えっとね。あの人だよ。可愛いだろ。」
可愛いかどうかはさておき、聞きたいことがあった。それと、、。やっぱり。
生徒会長は男に囲まれていた。これで俺はちゃんと遠慮なく手を出せるな。
「あの人って昔からあんな感じだったのですか?」
「いや、昔は大人しかったけど、ちょうど一年前変わったね。」
「何故かは知っていますか?」
「それは、、?さあ?ごめんね。わからない。でも、この明るい方がいいと思うし変わって正解だったんじゃない。」
「そうですか。すみません。受験シーズンで忙しい時に時間を取らしてしまって。」
「いいよ。別に。俺大学推薦だし。またね。」
「はい。また。」
帰り際、さっきの先輩が「あの二年困ったことがあるんじゃなかったっけ?」と呟いたのは無視することにした。
放課後
智樹は今週中にけりをつける。と言っていた。俺は早計ではないかといったが智樹は聞く耳を持たなかった。
そんなことよりこれだけ分かれば、後一つのピースで答えが決まってしまう。
俺が想定してる答えじゃないなら多分みんな幸せになれる。でも俺が想定してるものだった
らおそらく誰かが犠牲なってしまう。ほんと最低だ。
静かな彼女は何故変わってしまったのか?
明るいと言う言葉はいい意味でも勿論使われるが逆に悪い意味で使われることも多い。
言葉なんてそんな薄っぺらい自我を持たないものなのに誰かをいともたやすく傷付けてしまうものなんだ、そうしていともたやすく騙してしまうものでもある。
だから彼女は諦めた。諦めるのは悪いことではないがいい事でもない。逃げれば逃げるほど苦しんで、その逃げたっていう事実にまた目を背けてしまう。そうして、彼女はずっとあの頃から逃げてきたのだ。
じゃあ彼女は一体何を犠牲にしたのか?
そんなことは、考えなくても次の質問でわかる。
俺は、智樹と別れてから三年の担任と喋っていた。今日は特別部活がない一日だったので教務室には先生がいっぱいいた。
「先生あの質問があるんですけど」
「おう?どうした。えっと君は?」
あなた学校の先生なのでしょ。生徒の名前くらい覚えてくださいよー。
「柊薫です。」
「柊どうしたのかね?」
「生徒会についてです。生徒会長ってやっぱり成績がいいとなれないのですか?」
「何でだね。」
「僕、生徒会に興味があって生徒の代表ってやはり頭がいいのかなあ?っと思って。実際今の生徒会長は頭良いんでしょうか?」
僕の意図を見透かしたような視線を感じる。
「はあ~。なんか君頭良さそうで誰にもいわなさそうだから特別言うね。他言無用だよ。」
大人を舐めてはいけないというのを改めて実感した。
「水菜はね一年の頃は成績トップだったけど、まあ二年生になって下がったね。中学の頃はずっと成績トップを維持していたみたいけど」
「……だから、別に成績はあまり関係はないと思うよ。あと水菜は顔がいいからな。それが関係してると思うと私は思うよ。」
どこまで成績が下がったのかなんて流石に俺の良心は許さないみたいだ。
「ありがとうございます。それでは。」
可愛いからか。はあ。
これで確定してしまった。本当に予想通りだった。
自分の自信に繋がっていたものが突如信じられなくなったら、、人はどうする?
自分の存在価値だったものが急に絶たれたら人はどうする?
彼女は自分の武器、勉強で失敗して自分自身を認められなくなり、自分の存在価値がわからなくなったのだ。だから誰かに認めてほしい。という承認欲求を強く抱き、生徒会長というわかりやすくかつ、誰もが認める最強武器を自分に付けた。またあの頃の特別な人間になるために。
彼女はやはり自分が信じてたのを諦めてしまったのだ。
じゃあ俺は、、、なんて考えたくもない。
きっと俺は諦めた人間が一番言われたくない言葉を言ってしまう気がする。しかし、そうでなければ気づかないのだ、諦めてしまった事実に。時間が経てば、その事実に深く後悔する。だか、まだ生徒会長は諦める時間ではない。かつて自分もそうやって逃げてきたから、同じルートには歩んでほしくない。生徒会長には更生してほしい。
だから俺もそれなりの手を使う。本当俺って最低だ。
そうして俺は、何処か寂しい気持ちを抱きながら、一人で下校した。
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