44回戦 県中総体-8
ゴスッ!
「(うっ……?)」
ボクは何かに上半身をぶつけたような
「(えっ……?あ……れ……?)」
視界はぼやけ、一面が茶色になっている。
思考もハッキリしないが、
心臓の
それにぶつけた上半身だけでなく、全身が痛いし、うまく動かせない。
「ムロさん!?」
という何だか遠くで
ガシッ!と
「ヘヘヘ……!ざまぁねぇなぁ……!」
「ムロさん……!?ウソ……!」
再び声が
後から聞こえたほうは、今にも泣きそうな声色をしている。
「(
その声の主が分かると同時に、ボクは茶色い視界の正体に気づいた。
「(これは……、地……面……?
ボクは……、
直後にボクは
「ゲホッ!ガハッ!」
と思わず、むせた。
何だか息もしにくい。
「ムロさん!?
少し
直後にボクは思い出した。
「(そうかっ……!?試合っ……!)」
ボクは
自分の身体をガバッと起こそうとした。
つもりだったが、
「痛たたた……!」
ボクは思わず口に出すが、そのまま上体を少し起こして、
何とか片ヒザも立て、しゃがんだような姿勢になった。
痛みのおかげで、ようやくハッキリ目が覚めた感じだ。
身体のほうも、
「ムロさん!」
ボクを起こそうと
その
「キミっ!?
決勝戦の
ボクのすぐそばまで、やって来ているらしい。
「……っ、はい!
ボクは
そう言いながら顔を上げてググッ……と立ち上がろうとする。
「あっ!?ムロさん!?お顔が!」
言われたボクは
鼻から口にかけて、何だか温かい。
そして視界の下のほう、
頭のプロテクターの内側が赤く染まっている。
「えっ、血……?」
ボクは
どうやら、かなりの量の鼻血を出してしまっているらしい。
そんなボクの顔を見た
ピー!と鳴らして
「メディカルタイムアウト!」
と
アース内を走ったり
などなど負傷する要因が多々ある。
このため、試合中に負傷が発生することを想定して、
負傷に対する
ルールで認められているのだ。
それを『メディカルタイムアウト』と呼ぶ。
ちょっとした出血を止めるために
大きなものでは骨折や
あるいはプロテクターを
3分間の
出血が止まらない、
プレイの進行に支障をきたすレベルで動けないという場合には、
そのまま
多くの大会では高レベルの
最低でも1、2名は待機しているものなので、
なお、試合をしている
ポイント中の使用に限りメディカルタイムアウトにはカウントせず、
何度でも
ただし、
ケガや病気は
ケガを
失ったポイントがリセットされるということも無い。
このため、実戦にあたるモンスターとの
あるいは電気属性でのダメージのせいなのか分からないが、
鼻の両穴から大量の鼻血を出してしまったボクは、
アースの横でパイプイスに座らされて、
お姉さんはセミロングのやや茶色い
それにマスクで顔のほとんどが
首からは『屋良内』と書かれたネームプレートを
太めの赤いヒモでぶら下げている。
ボクはまず、血のついた鼻から口の周りを
大きめのガーゼのようなものでゴシゴシと
次に、小さいガーゼを棒状にしたものを鼻の両穴に
そして、
「ちょっとジッとしててね。15秒ぐらい……」
と屋良内さんが言いながら右手をボクの鼻にかざした。
「はい」
とそれにボクが鼻声で返事をした直後に、
ホワッとした温かさが
屋良内さんの手のひら全体からボクの顔に伝わってくる。
「……はい。外すわよ」
「ちょっとお鼻をかんで、これの
屋良内さんはそう言いながら、
ティッシュの箱と
「はい」
とまだ鼻声気味に返事をしながらそれを受け取ったボクは、鼻を
「フーン!」
と勢いよくかんでみた。
ティッシュを開いてみると、
わずかな血とその後に鼻水が出た感じである。
どうやら鼻血は止まったようだ。
それを確認したボクは、
次に屋良内さんから
「ゴホッ!?ゴホッ!?」
と思わず
鼻にツーンと来るアルコール
「
ティッシュとボクの反応を見た屋良内さんが
マスク
「はい……。どうもありがとうございました……」
とパイプイスから立ち上がって、
屋良内さんに深々と頭を下げた。
慣れているのか、さすがの手際だ。
時間は全部で2分もかかっていないだろう。
「
立ち上がったボクに、
「……
ボクは正直に言う。
その理由は、鼻血や肉体に受けたダメージのこともあるが、
もう1つ。
パイプイスに座っていた、アースの横の部分。
その位置から、
前立選手と
アースのセンターラインから向こう、
前立選手と
まるで
「(プロの試合でもここまでの
レベル10ぐらいありそうだな……)」
とボクが思っていると、
ふいに
「あーあぁ、くたばってりゃ楽だったのによぉ……。へへへ……」
と声がした。
前立選手だ。
だが、ボクが前立選手のほうを
ほぼ同時にピー!と
「キミねえ!さっきから目に余る!
次は失点にするからね!?」
コードバイオレーションを取られたのだ。
だが、それを聞いた前立選手は意に
「ウース……。スンマセェン……。ヘヘヘ……」
と笑いながら、スタンバイエリアにスタスタ歩いて行った。
ボクもその様子を見送ると、
ボクと
「!?
まだやる気なんですの!?」
ボクのそばにいた
「当たり前じゃないか……」
ボクは言う。
「もうやめてくださいませ!」
歩くボクの
「ごめん……。
ボクは歩みのほうは止めたが、
「今度こそ危ないかもしれないんですのよ!?」
ボクは
そして
真っ直ぐに
「それでもやらせて欲しいんだ……!
最後まで……!
出し切りたいんだ……!
ボクの意志は、すっごく固いのだ。
「……!」
しばらくすると目を泳がせ、そしてグッと閉じた。
「承知しましたわ……」
「
スッと背筋を
ボクはうなずいて、
「そうだね。
『数
と返事をした。
「それに
こちらの
「うん。
ボクはそこをショットガンで
ボクも
「承知しましたわ。
それで行きましょう」
ボクもうなずき、それに応じて左手を持ち上げる。
パァン!とボクは
ボクも
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