33回戦 市中総体-4

 ボクとりん、複本選手と蓋穴ふたあな選手が、

それぞれスタンバイエリアに入ると、

ピー!と再び審判しんぱんのホイッスルが鳴らされる。


 ボクとりん、複本選手と蓋穴ふたあな選手は、ダダダ……!と走り出す。


 ズババッ!


 メラメラッ!メラメラッ!


 おたがい、合体ジョイント完了かんりょうだ。


 と、

蓋穴ふたあな選手が、ザッ!とすぐさま背後に向かってバックステップし始めた。


「(距離きょりを取って四点同時攻撃クアドラプルアタック回避かいひするつもりか……!)」


 ボクは思いながらチラリとりんのほうを見る。


 りんは、コクリとうなずいた。


 ボクとりんは、松葉位置になりながら前進する。


 だが当然、蓋穴ふたあな選手とはなれた複本選手は、

前にいるボクのほうへ向かって走って来た。


 と、りんが再びダンッ!とジャンプすると、

蓋穴ふたあな選手のほうに向けてパパパパン!と四点同時攻撃クアドラプルアタックを発射する。


 今度の四点同時攻撃クアドラプルアタックは、

上半身側と下半身側にそれぞれ2発ずつ分かれて飛んで行く。


「チッ!」


 複本選手の舌打ちが聞こえたが、

蓋穴ふたあな選手のほうは、


「ハッ!」

と側転でそれを回避かいひにかかった。


 シュバッ!


 パボン!


 そこにボクの射聖ショットと、りんの加速する火球が発射される。


「フッ!」


 ビュッ!バシン!


 複本選手がボクの射聖ショットを、リーチギリギリの位置でたたき落とした。


 だが、りんの加速する火球のほうは、

ボッ!と四点同時攻撃クアドラプルアタック回避かいひした蓋穴ふたあな選手の

右ヒザの辺りのプロテクターに命中する。


「キャア!?」

蓋穴ふたあな選手は、悲鳴を上げて前のめりに転倒てんとうした。


 ピー!と審判しんぱんのホイッスルが鳴らされ、


2-2ツーオール!」

とスコアがコールされる。


「いいぞ!いいぞ!本能!

 行け!行け!木石!

 もう1本!」

とウチの剣魔けんま部の面々の手拍子てびょうし声援せいえんが飛んで来た。


「ナイスショットー!」


「ありがとうございます!」


 ボクとりんはパァン!と左手でハイタッチを交わす。


 複本選手と蓋穴ふたあな選手のほうは、

再びりんのほうを見ながら小声で話しんでいる。


「(りんを相当警戒けいかいしてるな……)」

と思いながら、


「ところでりん……。

 次もし蓋穴ふたあな選手が、さっきみたいに後ろに下がったらなんだけどさ……」

と今度はボクがりんに耳打ちをする。


 それを聞いたりんは、


「分かりましたわ……」

とうなずいた。




 ボクとりん、複本選手と蓋穴ふたあな選手が、

それぞれスタンバイエリアに入ると、

ピー!と再び審判しんぱんのホイッスルが鳴らされる。


 ボクとりん、複本選手と蓋穴ふたあな選手は、ダダダ……!と走り出す。


 ズババッ!


 メラメラッ!メラメラッ!


 おたがい、合体ジョイント完了かんりょうだ。


「(蓋穴ふたあな選手は……?)」

とボクが目をやると、

蓋穴ふたあな選手はバッ!と複本選手のすぐ背後にかくれたところだった。


 ボクとりんは、松葉位置になりながら前進する。


 ボクがセンターラインに到達とうたつしたところで、

パパン!

ババン!

りんが複本選手に火球を2発、

複本選手がボクに射聖ショットを2発、同時に発射した。


ち止めか!」

と複本選手は言いながら、

バッ!バッ!と再度合体ジョイントしようと聖剣せいけんを背後の蓋穴ふたあな選手に向けてりかぶる。


 メラメラッ!メラメラッ!


 ボクのほうは、


「ハッ!」

と左手で側転して2発の射聖ショット回避かいひし、すぐさま

シュババッ!とショットガンで2発の真空を複本選手に発射した。


「あ……!?」


 合体ジョイントを終えた複本選手がさけんだ。


「な……」


 蓋穴ふたあな選手も思わずと言った感じで口に出し、


「オオ……!?」

と観客席からもどよめきが上がった。


 ビュッ!バシン!バシン!

ビュッ!バシン!ビシュッ!


 りんの火球2発とボクの真空2発の計4発のたまが複本選手をおそい、

火球2発と真空刃1発はたたき落とされたが、

残りの真空1発が右ヒザの辺りのプロテクターに命中した。


 疑似四点同時攻撃クアドラプルアタックだ。


「やった!」


 ボクは思わずさけびながら、バッ!と左拳ひだりこぶしき上げる。


 ピー!と審判しんぱんのホイッスルが鳴らされ、


「ゲ、ゲーム!木石、本能!1ワンゲームストゥ0ゼロ!」

とスコアがコールされた。


「いいぞ!いいぞ!木石!

 行け!行け!本能!

 もう1本!」

とウチの剣魔けんま部の面々の手拍子てびょうし拍手はくしゅが飛んで来る。


「ナイスショットですわ!今のは大きいですわよ!」


「ありがとう!りんもナイスショット!」


 りんとボクは言いながら、パァン!とハイタッチを交わす。


「同時に射聖ショットが2つ!?」


 蓋穴ふたあな選手は驚愕きょうがくの声を上げ、


「なんと奇遇きぐうな!」

と複本選手も聖剣せいけんにぎったままの左手で頭をさえ、

わなわなとふるえながら言う。


 だが、これで秘密兵器だったショットガンの存在も知られてしまった。


「(ここからが本番だ……!)」


 ボクは、ギュッ!と聖剣せいけんにぎる右手に力をめる。

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