5回戦 絶と倫-1
ボク達が本屋の横の路地裏から
「あっ。お家どこなの?
この辺まだ分かんないよね?
近くまで着いて行こうか?」
ボクは
辺りがだんだんと暗くなりはじめていたからだ。
自治体に
プロの
日が暮れるとモンスターの活動が活発になって危険なのである。
ただ、ボクはそうは言ったものの、
「(やっぱり『気持ち悪い』とか『
まだ初対面だし……)」
と思い直して、
「
と付け加える。
だが
「まあ。
着いてきていただけるんですの?
と少し顔を
「そういえば、まだお名前をお
ぜひ教えてくださいませ」
と続けながら、そばまで歩み寄って来て、
ボクの左手を取り、両手でギュッと
「(えっ……!?)」
ボクは
「(こんな美少女に手を
と、その時、
「あっ!こんなところにいた!」
と声がした。
ボクと
絶だった。
「あら?お兄様じゃございませんか。
部活はもう終わったんですのね」
「うん。
でも、早く終わったのは
と絶が言いながら近寄って来て、ボクのほうへ視線を移す。
「あっ!キミ!」
絶はボクの顔を近くで見て、ようやくボクと気がついたらしい。
「(モブとして
ボクは思った。
「あら?もうお知り合いなんですの?
ワタクシから
ボクはそれを聞いて、頭の中に『?』マークを
「(
わざわざボクなんかを?
なんで?)」
「ボクも
絶までそんなことを言う。
「ボク、なんかしたっけ?」
心当たりが英語の時間に右手に
念のためにボクは絶に
「だって、あの昼間のベンチプレス。
あれ、先に上げてたのってキミだろう?
絶が言った。
「あー……、あれかー……」
ボクは思い至った。
「(昼休みにトレーニング室のベンチプレスで、
先に90キロのバーベルを上げていたのは、確かにボクだ……。
あの時の絶が何か言いたげだったのは、そのことだったのか……)」
とボクは納得した。
「それに、気配を察知する能力もすごいし……」
絶が続ける。
「そういえば、帰りの会が終わった時に変なことしてたね……」
ボクは言った。
「(あの時に、ボクの後方に立ってたのは、
ボクのことを試していた的なやつだったのか……)」
「しかも、足まで速いんだ。
あの時、実は部室前からキミを追いかけたんだけど、
校門を出た
絶がさらに続けた。
「(それは悪いことをした……)」
ボクは思って、
「あの時は
と言いながら頭をかいた。
「
今度は
「ワタクシ、たぎってしまいましたわ」
「たぎる?
本気で
絶が
「ボクは、
あんまり
と
「そうだ……」
「そんなことございませんわ!」
ボクが
「確かに丸くって
すっごくかわいいんですのよ!」
「それにワタクシの
オーラルコミュニケーションまではしてませんが、
今からするのが楽しみですわ!」
と続ける。
「……『かわいい』は、
絶は半分あきれたような声で言いながら頭をかいた。
ちなみに、ご存知の方もいるとは思うが、
ここで言っている『オーラルコミュニケーション』とは、
英会話することではない。
女性の体液。
つまり、だ液なんかを
このため、
開始前に女性がペアの男性の
それをオーラルコミュニケーションと呼ぶのだ。
体液なら何でもいいので、
それらを大量に出すというのは大変なので、
だ液で、
つまり口でするわけである。
だ液の量が少ない人のためには、
専用の
本人の体液には多少
それらを
嫌われているボクの場合、
イヤイヤでペアにさせられた女の子が
オーラルコミュニケーションなんてしてくれるはずもなく、
たとえ授業や
『ペッ!』とツバを
『世の中には、
女性にぞんざいな
というのは知っているが、
ボクはまだその域には達していない。
「ごめんね?
別にウチ、お金持ちってわけじゃないから……。
両親はトレーナーとしては有名かもしれないけど、
大会に出て賞金とか
絶がボクを見ながら言い、
「でも、
ボクでも加減してもらわないと簡単に折られちゃうのに」
と続けた。
「えっ!?そうなの!?」
ボクは
「だからボク、倫とダブルスやることほとんど無いんだ」
絶がうなずきながら言った。
「そうなんだ……」
ボクは
「(兄妹だから、てっきり当たり前のように
しょっちゅう
ボクは自分の認識を
「(そう言われてみれば、
自分の母親なんかと
ほとんど聞いたことがない……。
家族だからそういうことをするのが当たり前だとは、
確かにあまり考えられないか……)」
とも思った。
「やっぱりムロくんは、
ぜひ
絶がボクに
「えっ!?」
ボクは再び
「(なんでそうなるの!?
身体能力が高そうだからってこと!?)」
「ムロさんとおっしゃるのね?
ワタクシからもお願いしますわ」
今度は
「ワタクシ、ムロさんが部活に行ってくださるのなら、
絶対に参加いたしますわよ。
ぜひ
「えっ!?」
ボクはさらに
「(中断しなかったぐらいで!?
あんな丸い
「いや……、あの……、ボク……」
ボクは二人のことを
「さあ、ムロくん!」
絶がさらに
「さあ、ムロさん!」
絶、
「いや、あの!
ちょっと待って!
1つだけ!」
ボクは
高々と上に
絶、
ボクは、フゥー……とため息のように息をつき、
「ボク、
まだ名乗ってなかったよね……?
あだ名が『ムロ』だから……」
と何とか二人に伝えた。
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※ここまで読んでいただきありがとうございます!
物語はまだ
少しでも面白いと感じていただけましたら、
ぜひ★、レビューをお願いいたします!
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