1-18 集結ジョイナストロベリー

「てか思ったんだが、まりあちゃんをお前の部に引き入れたらいいんじゃねぇの? 俺らは部員と部室を確保できるし、まりあちゃんには部室を秘密基地として使ってもらう。win-winだと思うんだが。」

 銀時が太介に提案しました。

「……それもそうだな。どうかな、まりあちゃん?」

 太介が真理愛に尋ねました。真理愛は畳の上で伸びているので望愛が答えます。

「そうですねぇ……何の部活か分からないですけど、真理愛は秘密基地が作れるなら喜んで入ると思いますよ? 真理愛が入るなら私も入りますし。」

「なるほどありがとう。じゃあ部員が4人集まったということで、あと1人で部設立か————おや?」

 太介がリコの方を見ました。

「な……なによ?」

「早乙女さんは部活とか入る予定ある?」

「……ないけど。」

「じゃ決まりだな!」

「何がよ!? 黙ってアメいっぱい置かないで! こんなので釣れると思ってるの!? バカなの!?」

「んふふっ、もう仲良しさんですねぇ。」

 望愛が聖母のような笑顔で優しく見守ります。

「仲良い……のか……? だとしたらあいつ、いつの間に仲良くなったんだ?」

 そんな銀時の疑問もごもっともです。さっきまで犬を探し回っていたはずの太介が、男子をシカトしていると噂の美少女にツッコミを入れさせているのですから。

 その後太介から『例の先輩に絡まれないためにも誰かと一緒にいたほうがいい。活動自体は別にしなくてもいいから頭数あたまかずにだけ。』との説得を受けたリコは、渋々入部を承諾しました。

 かくして『人助け部(仮称)』のメンバーが揃いました。太介の提案により、部を作りたい太介、家の外に安眠環境を求める銀時、秘密基地を作りたい真理愛、真理愛のお目付け役の望愛、そしてリコの5人による親睦会が始まりました。

 親睦会では望愛が部室に余っていたお茶を淹れ、真理愛がそれを熱がってこぼし、それが太介の顔にかかり、彼がびっくりして飛び上がるとバランスを崩してゴロ寝中の銀時の腹上に倒れ込むトラブルもありましたが、終始楽しそうな雰囲気だったのでなによりです。

 ところでリコの前に置かれたアメがいちご味ばかりだったのは、太介なりのサービスのつもりなのでしょうね。

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つまずきキャンディドロップ SHOZEN @Vay-S-Ler9

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