1-11 犬猫コールド
「あ、銀時くん知ってる? 1組の
「あー……見たことはないが、風の噂で聞いたことはあるな。」
「私知ってる〜。あの子性格ヤバいらしいから近づかないほうがいいよ〜。」
「いやホントそれ。ルックス鬼カワで超モテるんだけど、話しかけてきた男子全無視してるらしいよ? 女子ともほとんど絡まないし。」
「そうそう! もしかしたら自分が可愛いからって調子乗ってるのかも! 『私はみんなとは違うから』みたいな(笑)」
「やめとけ。そういう態度をとるのにも何か本人なりの理由があるかも知れないだろ。よく知らないものを好き勝手決めつけて叩くのはよくない。」
銀時が強めの口調で一喝します。女子たちは臆病な猫の手のように軽口をひゅっと引っ込めました。
「ご、ごめん…………。」
気まずい空気が流れ始める
「ところで、犬って可愛いよな。俺はシベリアンハスキーが好きなんだけど、あいつらイカつい顔のくせして甘えん坊なんだよ。」
即座に話題を転換させました。すると、
「私は断然コーギーだな。人間に媚を売るためだけに短くなったような足が哀れで好きだ。」
「それはどういう種類の“好き”なんだよ……。」
さっき飴をもらいに来た女子が話に乗ってくれました。そこにいつものような銀時のツッコミ。凍りかけた空気が常温に戻りました。
ところで場の雰囲気をレンチンするのに貢献してくれた彼女ですが、ポーカーフェイスというか、口数が少ないというか、少しミステリアスな雰囲気の人です。
いつも他の3人より一歩引いたところにいるので目立ちませんが、意外とノリが良いようです。まあそうでなければこんな眩しめの女子グループになど身を置けませんが。
一方の太介はおそらく気を利かせたわけではなく単に犬の話がしたかっただけなのでしょうが、いずれにせよファインプレーです。グッジョブです。
キーンコーンカーンコーン。
帰りのホームルームも終わり、放課後です。
「ところでお前、例の勝負の件は進んでるのか?」
「それについては今から根回しを始める予定だ。」
「そうか。まっ、俺は口出さねぇから好きにやれや。」
「もちもち。じゃまた。」
「じゃあな。」
二人は廊下で手を振って別れました。
(……よし。作戦開始だ。)
同刻、本校某所。
見覚えのある金髪女子が誰かに絡まれていました。
「…………。」
彼女は絡んできたその男を無言で睨みました。
「へぇ、そういう顔しちゃう?」
男は余裕綽々な口ぶりでニヤリと笑うと、獲物を狙う虎のような目で彼女の顔を覗き込みました。
「まあ安心しな子猫ちゃん。今日は挨拶だけだ。オレサマは
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