1-7 制圧ハンドサイン
「——なるほどいいことを聞いた。」
不敵な笑みを浮かべて腕を組むのは、サラサラヘアーで編んだおさげがキュートな女の子。一体何を企てているのでしょうか?
「よぉしっ! 早速その部屋を制圧しにいくぞ!」
「制圧じゃなくて不法占拠でしょう? ねぇやっぱりやめようよぉ……廃部で使われなくなった部室だからって勝手に鍵持っていくなんて……」
もう一人の女の子が不安そうな声で彼女を制止しようとしています。こっちはふわふわセミロングで可愛いです。
「いぃーや! 鬼バッバの怒りの鉄槌を回避して思いっきり遊ぶには、我々だけの秘密基地を学校に作るしかない!」
「お母さんが鬼バッバなのは
「ふふーん。いつもありがと、
「むぅ、誕生日一緒なんだから姉気取りやめてくれるぅ? なんなら私の方が
「ぬぁぁぁーはっは! 姉より優れた妹などいない! つまりカワイイ方が姉なのだ!」
「見た目もほぼ一緒でしょぉが!」
「うるさい! もじゃもじゃ頭!」
「なんですってぇ!? そっちだって脳みそツルツルのアホのくせにぃ!」
「なんだとぉー!? アホって言う方がアホなんだぞー!」
「「んんんんん!」」
廊下の真ん中で額を合わせていがみ合っている双子の様子を、たまたま通りすがった女子生徒が微笑ましく見ながらそのまま通りすがっていきました。
「あれ? 茶道部室の鍵がないな……もしかしたら誰か使ってるのかもな。」
職員室の一角、各教室の鍵がぶら下がった状態で保管されている壁の前でそう呟いたのは川主先生。そこには太介や銀時の姿もありました。
「誰が使ってるんですか?」
銀時が訊きます。
「さあな。元茶道部の誰かが忘れ物でも取りにいったんじゃないのか? あるいは林堂と同じで部を作りたい奴が部屋を見にいったとか。まあ行ってみりゃ分かるだろ。」
川主先生が答えました。
「……分かりました。じゃあ行ってみます。」
太介はそう言うと、銀時と一緒に茶道部室へ向かいました。正確には“旧”茶道部室ですけど。
「……ここか。中から女子の声がするな。」
銀時が茶道部室入り口のドアの前で聞き耳を立てながら言いました。
「1人……いや2人はいるな。」
「敵を察知した強者の数え方すな。」
「俺が突入の合図を送る。」
「SATごっこならキ◯ザニアでやれ。できるかは知らんけど。」
太介は肘を曲げた状態で左手を上げ、手首を曲げて手のひらで扇ぐようなハンドサインをすると、ドアを勢いよく引き開けました。
ガラガラッ!
「だれだっ!」
すると中にいた誰かが拳銃の銃口を太介たちのほうへ向けてきました。
それはマッチョな手練れのガンナーなどではなく、おさげの小柄な女の子でした。
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