1-4 打ち解けホームルーム
入学式を終え、生徒たちが教室へ戻ってきています。自分の席で静かに何かを考えている太介もいる1-3の教室内は、早くも仲良く饒舌におしゃべりしている女子たちもいますが、まだ賑やかになりきれてはいません。とはいえ、ほぼ全員の机と教卓の上に置かれていた“あるもの”にはみんな少しばかりザワついています。
ガラガラッ。
「はいみんな席ついてー。高校生活最初のHR《ホームルーム》始めるぞー。」
やつれた顔をした教師が出入り口のドアを開けながら入ってきました。
担任の
みんなが席について静かになり、先生は教壇に立ちました。さてここからは定番の自己紹介タイム。生徒たちより前に先生がするみたいです。
「式の前にも言ったが、担任の
「小野寺先生、もう少し詳しく自己紹介したほうがいいと思いますよ?」
三石先生が控えめな口調で提案すると、
「そ、そういうもんですか……ごほん。僕は読書が好きでね。特に
「ふふっ。先生、自己紹介なのに指導されてるみたいになってますよ。」
「むむむ、自己紹介とは難しいものですな……では次、三石先生。」
「はい。」
三石先生は朗らかに返事をしました。そんなやりとりもあって、少し堅かった生徒たちの表情もほぐれてきました。
「私は
なんだか途中から早口になってきました。
愛犬への愛が止まらない三石先生に、小野寺先生が優しく指摘します。
「三石先生、いつのまにか犬紹介になってますよ……?」
「あ、ごめんなさい。愛犬のことになるとつい……私は1年前にこの学校に来たのですが、前の学校では『さよせん』と呼ばれていました。なのでみなさんも『さよせん』って呼んでくださいね〜。今日から1年間よろしくお願いします。」
「「——さよせんよろしくー!」」
「はーい、よろしくお願いします。」
さっき親しげに手を振っていた女子たちからの突然のコールにも丁寧にレスポンスしてくれました。
彼女ら、三石先生とも既に打ち解けているようです。早いですね。
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