拙作の歩き方

南瀬匡躬

第1話 一九八五年ごろから

拙作の歩き方


第一回


 本日は令和四年十二月二十四日。すなわちクリスマス・イブである。先ほど横浜の神社で大祓おおはらえを済ませて(クリスマスに神社ですから、どれだけ神社好きなんだ、って・笑 本当は密を分散させるための神社側の配慮)、アミュレットを頂戴して帰宅。そう言えば、皆さんが書いているような作品(僕のは作品と言えるようなモノじゃなくて申し訳ない)の紹介って、僕は少ないなあと思い、ここに書き始めた。

 なのでこれはコンテストや読み手を集うような代物では無く、僕の勝手な独り言である。自己分析と体験談。従って、別に「プレビュー」も「星」の数も「いいね」も気にしない文章である。まあ、普段からそんな気にしていないからあまり変わりないか。どうせ注目を集めるような作品を書いてはいないので(笑)。


 見出しには書いているのだが『時神ときがみ暦人こよみびと』シリーズに関しては、結構『時間物語のサブテキスト 「時神ときがみ暦人こよみびと」を楽しむために』という作品紹介があるので、ここでは端折ってしまうかも知れない。あるいは角度を変えて紹介していこうと思う。


 なので第一回は僕の最初の頃の小説について述べてみたい。小学生の時は民話みたいなものを部屋で一人自己満足で創作していた(暗いかも・汗)。でもこれはカウントしない。落書きに毛が生えたようなものだから。


 高校に入って大滝詠一を聴きながら、ナイアガラ・トライアングルやらなにやらを聴きながら、子供の頃から好きな中原中也の言ってることが読み取れず、室生犀星はすごいと思い、高村光太郎に感動した翌年だった。文学ではまだ田中康夫さんのキラキラ小説が幅を利かせていた頃だったはず。

 かつて観た『ねらわれた学園』、『探偵物語』の主人公だった薬師丸さんの『メインテーマ』という映画を見て、お姉さんちょっと良いかも? と女性を意識した頃だった。でも実際の本格的な異性への憧憬はこの少し後になる。


 もともとタイムスリップの作品を卒業間近の高校三年生の時にガリ版で学校の知人と共有している。主にもと軽音と演劇の部活の人たち。登場人物を自分たちにした感じのSF作品である。未来を舞台にしたモノだった。見せられたもんじゃ無いので、これ。しかも現物は手元に残っていない。なので、ここでは割愛(笑)。これが一九八五年前後の話。こんなことやっているから大学受験失敗して浪人したのかなあ? でも浪人してなかったら文学部を受けていなかったと思う。



 二作目は同人誌。大学一年の時。当時購読していた早川書房の『SFマガジン』の巻末にあった読者コーナーで同人募集の欄があって、そこに参加した。神奈川県厚木市周辺を中心とした同人を集めたかったらしく、運良く僕は入れてもらえた。そこで『武道館が教えてくれた!』というタイムリープモノを書いている。一九八八年からの発行だ。ビートルズ来日前夜にタイムスリップした少女の話。主人公は南野千里みなみのちさと。時代が分かるねえ。名付けの親は僕では無い。当時の同級生だ。そこで若き日のお父さんと出会う。しかもコンサートを見に行くという話だ。ここで僕の作品を読んでくれている人は感じるはずだ。「あれ?」と。


 そうこの二つの要素、若き日にお父さんと出会うのは、娘と息子の違いこそあれ、『時神と暦人 エピソードゼロ-1970年代にタイムスリップ』の大まかな骨組みになっている。主人公夏夫と父親だ。そしてコンサートを見に行く話は、『時神と暦人 -此花このはな二番館興業セカンドラン』の大元になっている。あさひとキャンディーズ。アーティストがビートルズからキャンディーズになっているけど。

 この当時の同人誌で連載した骨子を二つに分けて、設定を変えているのが『時神と暦人』のスタートだった。なのでこんなに長く書き続けるとは思っていなかった。頼まれもしないのに(笑)。


 この当時は趣味の読書はSFだらけで筒井康隆さん、星新一さん、眉村卓さんが中心だった。たまに推理物の赤川次郎さんや山村美紗さんなんかも読んでいた。それ以外は名作の岩波文庫の緑と赤を読みまくっていた。てな感じで、僕の最初の文章書きはここに始まった。勿論ワープロもPCない原稿用紙の肉筆書きである。綴じ紐とノンブル用ゴム印と分厚い『広辞苑』が必須の時代である。『公募ガイド』などを買ってせっせと書いていたが、今のようにPCでは無いので大量生産は出来ず、一〇〇枚単位の一作品を仕上げるのに半年以上かかっていた。やる気と根気の時代だった。

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