第12話 頑張れレオン!

 ある日、マリアとクラウスとお茶会の話をしていると突然声をかけられた。


「マリアちょっといいかな?」


 声をかけてきたのは皇太子であるレオンだった。いつもは遠目で見ているキラキラ代表が目の前で光を飛ばしている。


「あっ……目がやられる」


 あまりにも強い輝きに僕は咄嗟に目を閉じる。


「カイト大丈夫か?」


 そんな僕を心配してクラウスは僕の頬に触れる。レオンほどではないが、イケメンのクラウスの顔が目の前にあり、少し恥ずかしくなってしまう。


「なにこれ? ラッキーハプニング?」


 そんな様子をマリアは見ていた。


「それって私も行っていいかな?」


 だが、レオンの発言で時は止まった。しかし、マリアだけはまた別の世界に行っている。


「うっし、レオン×カイトだわ……。あっ、レオン様も是非お越しください」


 突然声を掛けられたマリアは小さく下の方で握り拳を作っていた。


「僕はレオンハルトだ! 名前が少し長いからレオンが愛称になっている。みんなは殿下とか呼ぶけど、学園内だからレオンでよろしくね」


 僕の前に出された手からも長く伸びた指からキラキラさが伝わる。手も美しいのだ。


「わぁ……すごいかっこいい」


「ん? どうかしましたか?」


「あっ、すみません!」


 急いで手を握ると、そのままの勢いで椅子から転び落ちそうになっていた。


「おっと、カイトは軽いな」


「小さいですね」


 近くにいたレオンとクラウスに抱きかかえられて椅子に戻される。年齢はそこまで変わらないのに、体の大きさが全く違う二人にドキドキしてしまう。


 一方その様子を見ていたマリアと近くにいるフローラから喜びの声が聞こえた。


「ちょっと……3Pもいいじゃないの」


 その声を聞いたマリアは迅速に振り返り、フローラに小言で話しかけた。


「やはり私達趣味が合いますね!」


「それはチ○ポッコン先生の――」


「その呼び方は二人の時だけにしてください」


 いつのまにか二人は仲良しになっていた。どこか僕だけ置いてかれているようだ。


――トントン!


「殿下、お迎えに上がりました」


 声がする方に顔を向けると知った顔の人がいた。


「あっ、レインさん」


「ん? カイト久しぶりだな」


 レインは近づいてくると僕の頭を撫でた。大きな手で撫でる感触はどこか心地良く目を瞑ってしまう。


「うっ、また一人増えたわよ」


「マリア嬢これは由々しき事態」


「いや、これは楽しみましょう。もうカイト総受けで良いわ」


「マリア嬢、それはいい考えですわ」


 令嬢二人はそんな様子を見てワイワイとしている。


「なんでお前がカイトと仲良いんだよ!」


 そんなレインの腕を握り、頭から払った。クラウスが食い付いてきた。


「ああ、クラウスか! 俺はカイトの兄貴と同室だったんだ」


「それにしても近いだろ!」


 クラウスとレインは歪みあっていた。何か二人の間にあるのだろう。


「お前も近づけば良いだけだろ! なぁ、カイト?」


 レインは突然抱きついてきた。きっとクラウスを挑発している。


「あー、レオン様出遅れてるわ」


「レオン様早く!」


 なぜか令嬢二人はレオンの応援をしていた。


 レオンが二人の様子を眺めていることにレインは気づき、姿勢を正してレオンの元に向かった。


「殿下、お見苦しい姿を見せて申し訳ありませんでした」


「いや、そんなレインの姿を見れて良かったよ。じゃあ、僕たちは帰ろうか」


「はい、殿下」

 

「皆さんまた明日」


 レオンは挨拶をして教室を後にした。その後ろをレインが付き添うように歩いていた。


「マリア嬢あれって……」


「そう、あの二人も捨てがたいのよ。でも、二人とも体格差が無いからね」


「やっぱそこは大事ですわ。男性、皆大きいのでカイトさんはほんとに貴重な存在ですわ」


「カイト、俺らも帰ろうか」


「僕も寮に帰りますね」


 マリアとフローラは何を話しているのか全くわからないが、女子高生のように楽しそうに話していた。

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