第11話 味噌と醤油

side:マリエール




「それではマサさん、よろしくお願い致します!」


「ちっと気合いが入り過ぎな気もするがまぁ良いか、準備してくるからちょっと待っててくれ」


「はい!」




ふっふっふっ


今日は待ちに待った味噌と醤油の作り方をマサさんに教えて貰う日なのです!


この日の為に改めて味噌と醤油について書かれたと思われる本を読み返していたら、『しょっぱい』という記述を見付けました


これは多量に摂取すると身体に悪影響を及ぼす可能性を示唆しており


このままでは『ナタリア様健康長寿計画』に支障が出かねません、しかし長寿大国である島国の調味料ですから


少量なら身体に影響は無いと考えるべきでしょうか?


これは検証が必要ですね。




「待たせたなお嬢さん、まずはコレだ」



戻って来たマサさんの手には2つの桶があります、1つは水に浸された大豆、もう1つには塩が入っています、これが味噌と醤油の材料という事でしょうか


しかし、わたくしに手渡された稲穂は何でしょう?



「マサさん、この稲穂も材料の1つなのですか?」


「まぁ稲穂っつうか、稲穂に付いてるだろう菌が必要なんだよ」


「菌というとパンを膨らませるのに必要と言われている物ですよね」


「その通りだ、まずはこの菌を増やさなくちゃ何も始まらんのだが、その方法が俺にはさっぱりだ。パンに使う菌は果物を水に浸して数日放置してれば出来るらしいから、そのやり方で試した事もあるんだが、結果は聞かなくても分かるだろ」



「質問なのですが、菌を増やすという事は菌は生きていると考えて良いのでしょうか?」


「ん?、、、まぁ増えるんだから生きてると言えるのか?俺の故郷じゃ神の祝福とか言われてたけどな」


「神の祝福かどうかはともかく、生きているならやりようはあります。まずは元気な菌になるように稲穂全体に回復魔法をかけます。次に物理攻撃と魔法攻撃アップの魔法を」


「おいおい、魔法の事は全然分からんが菌に魔法攻撃アップは必要なのか?物理攻撃はなんとなく必要な気はするが」


「そこは念の為ですね。次に物理防御、魔法防御、精神防御アップ、素早さアップに、、、運もアップさせておきましょうか


他には稲穂の周囲に聖属性の結界を張ってと、これでどうでしょう」



「効果があるかどうかは置いといて、お嬢さんは本当に何者なんだ?」


「わたくしは薄味屋の店主マリエールと申します。ちゃんと覚えて下さいね♪」



「改めて言われんでも忘れちゃいねぇよ!魔法ってのはどれか1つでも使えれば食うに困らねぇって聞いてるんだがなぁ(汗)」


「ふふふっ、努力は裏切りませんから」


「そういう問題じゃ、、、ん?おい、稲穂にカビが生えて来てるぞ!」



「本当ですね、これが味噌作りに必要な菌ですか?」


「分からん!」


「えぇー?!ここでそれは無いですよマサさん」


「最初に言ったろ大まかな作り方しか知らんと、しかも菌は秘伝だとか言われて詳しい事は隠されてんだからよ。


だがこれを味噌作りに必要な菌と仮定して増やして行けば、次の工程は知ってるから問題無い


ちなみに魔法の効果はいつまで続くんだ?」


「おそらく明日の朝までは」


「そうか、今のペースで行けば充分な量になりそうだな。ここからは待ってるだけになるからお嬢さんは帰って良いぞ」



「そういう訳には参りません!」


「心配しなくても今日は本当に菌を増やすしか出来ないんだよ。明日もお嬢さんの魔法が必要になるだろうから、中途半端な所で魔力切れにならないように休んで欲しいんだが」


「むぅ、、、そういう事なら仕方ありませんね。全力で休んで万全にして参りますので明日は夜明けと同時に作業再開と言う事で、それでは失礼致します。」


「おう、、、ってちょっと待て!夜明けと同時って早過ぎ、、、」



「おやっさん、たぶんもうお嬢さんには聞こえて無いっす」


「みたいだな、歩いてるのに走ってるのと同じ速度ってどうなってんだよ(驚)」






つづく。

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