第5話 お好み焼き
side:マリエール
なんということでしょう
山に自然薯を取りに来たのに見付けられないなんて
くっ!
これではナタリア様健康長寿計画に支障が(泣)
仕方ありません、自然薯の代わりに他の山芋は見付けましたからこれで本で見付けた島国特有の料理、ふわふわのお好み焼きを作る事にします。
お好み焼きには専用の『ソース』があるらしいのですけど、入手出来ませんでしたから
何か代わりのソースを作らないと
『ガチャ』
「ただいま戻りました」
「お帰りなさいませマリエール様」
「リィンさん、何度も言いますけど今のわたくしは平民ですから『様』は不要です。」
「申し訳ありません、つい癖で」
お店に戻って来ると従業員のリィンさんが店内の掃除をしている最中でした
リィンさんはシュヴァイツァー公爵家の庭師の娘さんですが、わたくしが薄味屋の従業員としてスカウトしました
もう1人、同じくシュヴァイツァー公爵家の料理人見習いの娘さんで、エイミーさんという方も居るのですけど今日は休養日なので不在です。
まぁ今日は1週間で1番お客さんの少ない月曜日なのでリィンさんと2人でも充分でしょうけど
さてと
わたくしはお好み焼きを作りましょうか
お好み焼きはその名の通り好きな具材を入れて焼く料理ですけど、ここは基本の具材であるキャベツと豚肉にしましょう♪
すりおろした山芋、卵、小麦粉、刻んだキャベツを入れて混ぜれば後は焼くだけ
『ジューーーー』
スンスン、、おおっ!
豚から出た脂がなんとも言えない良い匂いがします♪
焼き上がったら仕上げに、アサリから取った出汁に刻みネギを入れて片栗粉でとろみを付けたソースをかければ完成です。
本物のお好み焼きと比べるとかなり違っているかもしれませんけど、美味しそうなので良しとしましょう。
「こんにちはー」
あら?
お店にお客さんが来たみたいですね
「マリエールさーん、こっちは手が離せないのですいませんけど接客をお願いしまーす!」
「はーい、、、お待たせしまし、、た?!」
なんという事でしょう、今わたくしの目の前にはナタリア様が
あのナタリア・ヴァイスハーフェン様がお客さんとして来られています!
リィンさんからは以前からナタリア様がよくお店に来られている、という事は聞いてはいましたけれど
むっ、無理かもしれません(汗)
こんなに近くでナタリア様のお顔を拝見出来る喜びよりも、わたくしのような煩悩まみれの女がナタリア様の近くに居るなんて畏れ多過ぎる!わたくしの煩悩でナタリア様のお顔が汚れないか、、、バカバカバカ!わたくしのおバカさん!わたくしごときの煩悩でナタリア様のお顔が汚れる筈など無いのに、近くでナタリア様のお顔を拝見出来た喜びで調子に乗ってしまいました、猛省です!わたくしがナタリア様と直接言葉を交わにはまだまだ精進せねばなりません!
あぁ~、ナタリア様の高貴なオーラでわたくしを浄化して欲しい
「あの、注文良いですか?」
「えっ?、、あっ、はい!どうぞ!」
あぶないあぶない、一瞬意識が何処かに飛んでいました(汗)
「それじゃあ、、、スンスン♪えっと、その手に持ってるのはもしかして新作料理ですか?」
あっ!
うっかりお好み焼きを持ったまま来てしまいました
「そっ、そうですねちょうど試作をしていた所です。」
「そうなんだ、良ければお金を払うから試食させて欲しいんだけど駄目かな?」
「試食にお金は不要ですが、本当に今初めて作ったので味もこれから確かめるところでして」
「それなら尚更第3者に味の感想を聞くべきだと思う、その役目を是非とも私に!」
うーむ、困りました
ナタリア様の言う通り第3者の意見は欲しいですが、試作品をナタリア様に食べさせるというのは不敬にならないでしょうか?
「あの、マリエールさんちょっとお耳を」
「あっ、はい」
お店の奥から出て来たリィンさんがわたくしに小声で何やら話かけて来ます。
「ナタリア様のお願いを断る事こそ不敬になるのではないでしょうか」
ガーン(悲)
なんという事でしょう、尊き御方の願いを断ろうとしていたなんて
わたくしのバカバカバカ!
今すぐ女神様に罪深きわたくしを罰して欲しい!
でもそれは後回しです、これ以上ナタリア様を待たせる訳には行きません!
「どうぞナタリア様、存分に試食なさって下さい」
「やったぁー♪ありがとう、いただきまーす、あーん、アチチッ!はふはふはふはふ、、、、美味しい♪」
あぁ、なんと尊い笑顔なのでしょうか
ナタリア様は女神様が地上に姿を現す時の仮の御姿なのでは?
女神様はここにいまし、すべて世はこともなし
つづく。
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