第5話 見索権能とお姉さんと。
初めての討伐を目的としたクエストを受けに行くユウキ。
「なにか視線を感じる…」
少し周りを見渡すが、周りにはきれいな草原が広がっているだけで、誰も何もいなかった。
少し不気味に感じたものの、周りを警戒しつつギルド・ムタティオに戻った。
「よお、ユウキ。その短刀どうしたんだ?」
「初任給に当たるもので少し奮発しまして…」
「敬語はやめてくれ、話辛い」
「そのうち直します」
会話を終え、クエストを選ぶ。
「(ゴブリンとか狼とかかなやっぱ)」
自分の学生証に書いてある総合評価とクエストのレベルを比較しつつ、受けるクエストを決めた。
「リュウさ…じゃなくてリュウ、クエストお願い…」
「ははは、無理すんな。これだな、じゃあ学生証をくれ」
「ほい」
学生証にクエストが受理されたことが表示され、学生証が返される。
「行ってこいユウキ」
「行ってきます」
草原のクエスト該当場所に着く。
「さてさて狼はどこにいるかなー?」
平原にある村の周りに狼の群れがいて、その群れが度々村を襲撃されるのが危険なので、その群れをどうにかしてほしいとのこと。
「うわーガチでいた」
群れは七、八匹で、少し大きく、青い模様の入った狼が長のようだ。
似たような模様の狼が一匹いたが、大きさは普通で、模様も少なかった。
「(まず様子見かな)」
様子見のため、エレキを群れにちょっかいをかけられるように撃った。
「宣戦布告完了~」
先頭にいる三匹が先導してユウキに向かってくる。
「先頭の二匹は人間が動けないようにしろ!残りのものはとにかく攻撃だ!」
「ん?今誰が…」
何か指示をする様な声が聞こえた。
その声に戸惑った隙に、足と腕に嚙みつかれてしまった。
「いったぁぁぁ!(痛い痛い痛い!意識飛ぶ!)エェェレェェキィィィィ!」
「ウガアアアアア!」
噛みついていた狼が感電の衝撃で向かってくる群れの方へ吹き飛ぶ。
群れの先頭とぶつかって群れの足が一瞬止まる。
そこにエレキに似た電気系統の魔法が飛んできた。
「今だ!ウィンド!」
ウィンドで群れの上に飛び上がる。
「指揮系統が潰れれば群れは散り散りになるんじゃないのか!?」
と、言いながら落下し、群れの中心にいる長らしき狼に切りかかる。
長の首を捉え、切った。
「これ以上は殺したくない、村を襲うのはやめてくれないか?」
長とは別にもう一匹いた模様の入っている狼が寄ってくる。
「話せるのか?」
狼が話しかけてくる、というよりは語りかけてくる。
口が開いていないので、何か意思疎通が図れるようになる魔法を使っているのだろう。
「言葉に出さなくてもいいんだよな?これ」
「ああそうだ」
頭の中に直接語りかけられているように感じる。
「我々狼は人間に危害を加えていないのに言いがかりをつけられたり因縁をつけられたりで住処を追われていてな、彷徨っていたところに君も襲ってきたところだったんだ」
「それは…申し訳ないことをした」
膝をつき、頭を下げる。
「いいんだ。人間と共生したいと思っていたのだが長…もとい我が父が人間は殺せと言うもんでなあ、意見が食い違っていたんだ。だから感謝しているくらいだ」
体制が土下座に変化した。
「共生の手伝いをしてくれるなら父殺しは許そう。恨んでもいないが」
「わかった、やろう」
狼とは今日は一度別れ、後日また会うことにした。
平原からドゥアリタスに帰る途中、後ろから声をかけられた。
「危なかったけどよくやったね、ユウキ」
「ひゃっ!シノさん…?」
「狼をできる限り殺さず抑えたじゃないか」
「あれは少し特殊な事情が…」
「どっちにしろすごいじゃないか」
「ていうか見てたんですか?」
「大分遠くからこの目で」
そういって指で示した目は緑にうっすら光っていた。
「もしかしてあの魔法ってシノさんのですか?」
「そうだね、あれは私の電気魔法だ」
「それでその目の魔法は?」
「これは魔法とはちょっと違ってね、権能っていうんだ」
「権能?」
「私が今使ってるのは
「じゃあもしかして狼が何を言ってるのか分かったのって…」
「じゃあユウキの見索権能はそれだね」
「もしかして昨日から見てました?」
「あれ?ばれちゃった?」
「視線を感じてたので」
「じゃあもしかしたら見索権能の才能があるのかもね」
異種属、異世界に召喚 ものしりめがねをかけたカビゴン @nekoyama-yuki-115
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