第208話 因縁④

「ぐはっ!!!」


 大きな声を上げながら倒れた奴はすぐさま起き上がる。


「チッ! 油断したぜ!」


「本当に油断か?」


「なんだと?」


「さっきのお前の動きは俺の予想通りの出来事だった。つまりだな、お前の行動は俺に筒抜けなんだよ」


 俺の言葉を聞いた伊藤は怒りを露わにする。


「俺の行動がお前如きに読める筈ないだろ!!! 【ハイ・ライト】!!!」


 光属性の範囲攻撃魔法だが、このくらいなら...。


「フワン【水の壁】」


 俺の指示通りフワンは優雅に空を舞い、俺たちの周りを水で覆った。


「馬鹿め! その程度の防御魔法で俺の魔法を止められるものか!!!」


 なんて言っているがしっかり受け止めてられている。


「あまりうちのフワンを舐めるなよ」


「ぐぬぬ...! ならば光よ! 剣に纏わり付け!!」


 光を剣に宿し属性剣へと昇華させる奴を見て俺は笑う。


「そんな剣でこの水の守りを突破できるのか?」


「できるさ! お前の守りなんざ1発だ!!!!」


 そう言いながら剣を振りかざしてきたが、結局水の壁に阻まれてこちらまでこれていない。


 その間にリィカのブラッドスピアで攻撃し、俺が奴の動きを【拘束付与】で止める。


 これを繰り返しているだけで勝てそうだ。


 焦ったのか奴はこんなことを言い出すのだった。


「卑怯だぞ!!! 男なら一対一で勝負しろ!!!」

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