第51話 大蛇

「真菜...?」


 俺は妹の名前を呟く。


 目の前でいきなり失われてしまった妹の素顔を思い出し、自分の言葉を思い出す。


(俺が真菜を守るよ)


 昨日そう言ったばかりじゃないか! 逆に助けられてどうする!!!


 そう思うと無力な自分に腹が立った。


「リィカ! 【ブラッド・スピア】!」


『感情の昂りによりEXスキル【魔物の扱い向上】を取得します』


 俺の指示を聞いてくれたリィカの槍が大きくなって放たれる!


 ブシュっと言う良い音と共に大蛇の皮膚に突き刺さった!


「ギシャァ!!!」


 大きな声を上げながら跳ね回る奴に追撃を加える。


「アル子! 【突進】! フワンは【水撃】だ!」


 リィカが皮膚を突き刺し、アル子が横っ腹に突撃し続け、止めとばかりに水の魔法をぶち当てるフワン。


 しかし、これだけの攻撃を持ってしてもなお大蛇は倒せない。


 皆も確実に強くはなっているのだが、決め切るだけのスキルや魔法を俺たちは覚えていないのだ。


 ぬるい攻撃では奴に致命傷を与えることができず、消耗戦となる。


 奴の体力が尽きるのが先か、俺たちのMPが尽きるのが先かの勝負だ。


 そんな時だった。


 俺の頬を炎の炎剣が掠め去り、大蛇に一撃を入れたのは!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る