第52話 炎剣

 炎の剣が大蛇の瞳に突き刺さると同時に颯爽と現れた赤髪の少女。


「今がチャンスだ! くらえ!!!【クロスフレイム】!!!」


 両手に炎剣を携えながら、大蛇に向かって突撃する少女。


「ギシャァァァァァ!!!!」


 と言う大きな声と共に大蛇は倒れた。


「よしっ! 皆の仇だ」


 そう言いながら炎を消した彼女の方に目がいくが、今は妹の方が心配である。


「真菜!!!」


 そう叫びながら俺は大蛇の口から体内に入ろうとすると...。


「待てって! あんた死ぬ気か!?」


 そう赤髪の少女に止められるが、なりふり構ってられない。


「離せ! 妹が食われたんだ!!!」


 俺の言葉に彼女は手を離してくれた。


「食われてから何分が経過した?」


「知るかよ! 5分も経ってないと思うがな!」


 それを聞いた彼女は両手にふうっと息を吐く。


「ならまだ大丈夫かも。大蛇の腹を掻っ捌くのを楽しみにしてたんだからな!」


 明らかにオーバーキルであろう炎剣で大蛇の腹を一気に掻っ捌く少女の手腕は見事である。


 大蛇の腹が割れるのを確認した俺は真菜を探す。


「真菜! どこだ!?」


「ここだよ〜...」


 そう言いながら手を振っている彼女の周りには黒髪の少女が1人いた。


「その子は?」


 俺が聞くと真菜は答える。


「私より先に食べられていた子だよ。それで私を水の魔法で守ってくれていたんだ」


「なに?」


 驚く俺に赤髪の少女はこう言ってきた。


「おいおいおい、助けてやったのに例のひとつもなしか? まあ私も妹を助けられたからいいけどさ」


 ふんっと腕を組む彼女の腰の辺りをよく見てみると、おたまじゃくしの尻尾のような物がウネウネと動いているのだった。

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