第48話 高坂森虎

 高坂森虎とは俺の父さんの弟であり真菜の本当の父さんである。


 つまる所、真菜は俺の父さんと母さんから生まれた本当の家族ではなく、父さんの弟の娘なのだ。


 しかも幼い頃の真菜に虐待を繰り返しギャンブルにハマっていたどうしようもないクズなのである。


 後から聞いた話ではあるが、そもそも真菜を産んだこと自体事故だったようだ。


 女遊びにギャンブルで常に身を滅ぼしかけていて、うちにも何度も金をせびりにきたのを覚えている。


 初めて俺と真菜が出会ったのはやしえなくなったからそっちで娘の面倒を見てくれと言う物だった。


 母さんと父さんも渋々ながら引き取った訳だが、そこで驚きの事実が明るみにでる。


 話はその日の晩御飯の時になる。


 なんと、真菜は今までロクな物を食べたことがなく、ご飯の時間になるとわざわざ外に出てそこら辺にある雑草や水道水飲みを食し始めたのだ。


 流石の母さんも父さんもこれには同情し、真菜にちゃんとした食事を与えた上で何度も森虎おじさんに電話したのだが、繋がる事はなかった。


 その後連絡が取れなくなったため、真菜は俺たちの家族となり、その後はみるみるうちに回復していたったのだが、心の傷はなかなか治らず、他者との触れ合いに慣れるまでは俺と一緒な教室で授業を受けていた。


 しかし、真菜は心優しい子であり、少しずつではあるがよくなっていたある日、事件が起こる。


 なんと森虎おじさんが真菜を引き取りに来たのだ。


 しかし、真菜を受け取りに来た理由が借金返済の

 身売りだぜ? 体の芯の底まで腐りきっている森虎と父さんは玄関で取っ組み合いになった。


 しかし、森虎おじさんは包丁で父さんを突き刺し殺害。


 その後母さんによって呼ばれた警察が駆けつけてくれたおかげでなんとかなり、最終的に奴は30年の懲役を喰らう事になった。


 その現場を直に見ていた真菜は心に深い傷を負ってしまったたが、俺も母さんも真菜のせいではないと断言して育てた。


 そのおかげもあって小学5年生となった今でも真菜は普通の学校生活を送れている。


 しかし...。


 もしも本当に森虎の奴が刑務所の外で出てきたとなると大変な事になる。


「...真菜ちゃんには内緒にしておいてね」


 と母さんには釘を刺されたがいう訳ないだろう。


 もしも森虎の奴が家に来た場合、父さんがいない今、守れるのは俺しかいない。


 もしも奴が来た場合に備えて少しでも強くなっておかないといけないと思う俺なのだった。

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