第27話 VSアルミラージ

 俺がレイナに貰った杖のテキストを見て思わず「蒼き英雄...?」と呟いてしまう。


「どうしたんですか? 高坂さん?」


 エルフの少女レイナの青い瞳に俺が吸い込まれそうになった時に我に返った。


「いや...なんでもない」


 そう言いながら俺は歩みを進める。


(武器のフレーバーテキストがもしも彼女の未来の事を伝えているのなら、それを言うのは野暮ってもんだよな...。それで未来が変わっても悪いし...)


 と言う事で黙っておくことにしよう。


 そう思っていると紫色の体色を持つウサギ型の魔物であるアルミラージが現れた。


「ギシャァ!!」


 と言いながら俺たちに襲いかかってくるのだが...。


「ああ、ここは私に任せてください」


 とレイナが言いながら杖を向けて「火球」と呟いた。


 すると小さな火球が飛んでいき、魔物を焼き殺したのだ。


「ギシャアア!!!」


 苦しそうにもがく魔物を見て「今夜はウサギ焼きですかね」と顔色一つ変えないエルフの少女に少し畏れを感じる俺。


(レイナって俺たちよりも年下だよな? 魔物とは言え生物を殺して顔色一つ変えないとが肝が据わってるな...)


 そう思いながらもアルミラージを狩って行く俺たち。


 数匹狩るとレベルが上がり【育成中の魔物成長率UP】と【魔物テイム率UP】と言うEXスキルを得た。


(順調に強くなってるな...)


 仲間との連携を考えながらしっかりとレベルを上げて行く。


 俺がデバフをかけた後にレイナと蜜香に倒してもらう。


 数が多い時にはリィカを盾として俺とレイナ2人の詠唱時間を稼ぐやり方がかなり良かった。


 数が多くてリィカが突破された場合は蜜香の付与術で壁を作って貰い更に時間を稼ぐ。


 魔法使いであるレイナの火力がやはり1番高いので、彼女を主力として扱うのが1番強い戦法だった。


 だが、やはりこのチームの欠点は魔法力がDPS(1秒間に与えるダメージ)に直結している事だろう。


 故に長時間の狩りが行えないと言う稼ぎには致命的な欠点を常に背負っている。


(やはり前衛職が欲しいな...)


 そう思っていると、倒したはずのアルミラージが立ち上がりこちらを見てくるのだった。


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