第9話:よくある嫌がらせ
おはようございます。宿屋の自分の部屋で寝てたはずなのに・・・
何でニニアさんが隣に寝てるの?
よくわからないけど、とりあえずペチンペチンして起こそう。
「え?なになに!?」
なんで私の隣で寝てるのかな?
「リーゼちゃんの護衛をしようかと思ってたんだけど、途中で眠くなって・・・」
なんで私の護衛?
「なんとなくリーゼちゃんの重要性に気付いて・・・」
私は全然重要でもないんだよ?
「でも、あのメテオを見ちゃうとね・・・あれってまだ全然本気じゃないでしょ?」
まあ、うん・・・
とりあえず着替えて朝ご飯を食べる。
今朝は黒パンと玉ねぎのスープ。
ちなみにニニアさんは串焼きじゃない。
野菜のシチューと黒パンだ。
なんて言うかエルフっぽい感じがする。
「ギルドの査定は終わったんじゃない?」
どうだろうね。結構時間がかかるっていう話だったけど・・・
「さすがに1日半たったからね。終わってると思うよ?」
終わってなかったとしても、今どんな感じなのか聞きに行こう。
「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」
カウンターに並ぶ。朝だから結構混んでる。
周りの冒険者がにやにやした目で見ている。
足を引っかけて転ばそうとしてるのかな?
どこでもこういう人って居るよね?
素直に引っかかって転んでおこう。下手に抵抗すると逆上するよね・・・
転ぶとわかってれば痛くないように転ぶこともできるんだよ。
すっ
こけっ・・・ガシッ!
あれ?上手にこけようとしたらニニアさんが手をつかんで助けてくれたんだよ!?
ありがとう、ニニアさん!
「ちょっと!今足引っかけたやつ!」
にやけた冒険者を睨むニニアさん。
いいんだよ、別に私は気にしてないんだよ?
「助けてあげたんだから、お礼の一つも言えないの?」
ん?
なんか話が変な方向に・・・
「へ?オレが?お礼?なんでだよ?」
ほら、怒っちゃったんだよ?
「あ、リーゼロッテ様。キラータイガーの査定終わりました」
受付のお姉さんがわざと大きな声でそう伝えてくる。
ギルドの中がざわつきだす。
-おい、キラータイガーだってよ・・・-
-あのガキが、いやお子様がか?-
-足を引っかけたゴンザの奴はどうなるんだ?-
-まあ、ひどい目に合うんじゃないか?-
ゴンザさん?は顔が真っ青だね・・・
だったら最初からこんなことしなければいいのにね。
「お、オレはあんたがそんなにすごいとは思わず・・・」
私はすごくないんだよ?レベルは1だしランクもGなんだよ。
だから実際に試合とかしたら誰とやっても負けちゃうんだよ。
「しかし、キラータイガーを倒したって・・・」
あんなのまぐれなんだよ。
銅貨を1枚ゴンザさんの頭の上に落とす。
「痛ぇ」
今のがトラさんを倒した技なんだよ。
実際にはこの岩を落としたんだけどね?
私よりも何倍も大きな岩。
-なんだよ、あの大岩・・・-
-そもそもどこから出てきたんだ?-
「さっきの銅貨が岩だったらあんた死んでたんだよ?」
ニニアさんがゴンザさんに突き放すように言い放つ。
「なるほど、確かにオレは助けられたようだ。スマン、礼を言う・・・」
それにニニアさんもなんだよ?
さっき私が普通に転んでいればゴンザさんは気持ちよく笑ってそれで終わりだったんだよ?
こんな騒ぎにはならなかったんだよ。
「え?」
新人とか弱そうな子供とかを見ると攻撃したくなる人はどこの街でも一定数居るんだよ。
そんなのにいちいち突っかかって反応するのは時間と労力の無駄なんだよ。
言い返せば暴力に訴えるし、反撃すればもっとやり返してくるんだよ。
偉い人とかが注意すればその1回はやめるけど、どうせすぐに繰り返すんだよ。
こういうのは相手にしないでスルーするのが一番なんだよ。
さてと、武器が出来上がったら次の街に行こうかな?
この街はなんだか気まずくなっちゃったからね・・・
「別に嬢ちゃんが出ていかなくてもいいだろ?悪いのはゴンザなんだし・・・」
ギルドマスターのその反応もダメなんだよ。
ゴンザさん的には気に食わないガキにちょっと足を引っかけただけなんだよ?
その程度じゃギルドを除名するとか、追放するとかにはならないんだよ。
せいぜい注意して終わりって感じなんだよ。
相手が私だったからって対応を変えるのはおかしいんだよ?
私はお子様かもしれないけど、冒険者なんだよ!
同じ冒険者である以上対等に接してくれないと困るんだよ!
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