第8話:武器を求めて

「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」


ギルドに戻ってきて、カウンターに並ぶ。

「依頼達成の報告ですか?」

薬草の採取なんだよ。


どっさり


「いっぱい採ってきたのね」

あとは魔物の残骸もあるんだけど・・・

「残骸?」

何回もごちんってやったから潰れちゃったんだよ。

「うーん、一応裏口に出してくれる?」

受付のお姉さんに連れられて裏口へ。


「トラの嬢ちゃんか・・・まあいい。ここに出してくれ」


でろん


これはさすがにダメだよね?

「ぺちゃんこだな・・・解体する必要とか無い感じだな・・・」

そうだよね・・・

何か使えそうな部位とかある?

「魔石くらいか?」

魔石も粉々な予感なんだよ・・・

「ちょっと待ってろ?」

解体係の人がトロルの胸を切り開いて赤い石を取り出す。魔石だ。結構大きい。

「これだ。無事だったみたいだな。解体料は銀貨1枚でいいぞ」

銀貨1枚と交換に魔石を受け取って受付お姉さんに渡す。

「トロルの魔石なら金貨2枚ね」

結構お高いね。半分こだからニニアさんに金貨を1枚渡す。

「え?」

ニニアさんがびっくりしてる。

足りなかった?

「いやいやいや、多いよ!」

ニニアさんが足止めしないと倒せなかったからね。

「リーゼちゃんが倒したじゃん!」

私一人だったら、おいしく頂かれてたんだよ?


「そもそも、リーゼちゃんが居なかったら出てこなかったよ!それに、アタシ一人の時に出会ってたら死んでたよ!」

だから、半分こなんだよ!

「なるほど、こういう子なのか・・・」

そんなわけでバイバイ?

「ちょっと待って、リーゼちゃんの武器を買いに行こう!」

武器?剣とかは使いこなせないんだよ?

「リーゼちゃんの戦闘を見ていいものを思いついたんだ!」


そんなわけで、鍛冶屋にやってきました。武器屋じゃありません。鍛冶屋です。

「インゴットでも鉄球でもいいから重たいものないかな?」

鍛冶屋さんが不審者を見る目でニニアさんのことを見てる。

「何に使うんだ?」

私にもわからないんだよ・・・

「武器に使うのさ!」

鍛冶屋さんがより一層不審な目でニニアさんを睨む。

「剣や槍なら武器屋に行け」

そんなのは使えないんだよ。重くて持ち上げられないんだよ・・・

「だから普通じゃない武器が必要なんじゃない。大岩よりもよくない?」

ああ、そういうこと?


「いまいち話が呑み込めんのだが?」

とりあえず鉄の塊でも何でもいいから重そうなものを用意して欲しいんだよ。出来ればたくさん・・・

「失敗作を鋳つぶした塊でもいいか?」

そう言うのでいいんだよ!むしろ、そう言うのがいいんだよ!

「まだ理解が追いつかないがこんなものでいいのか?」

鍛冶屋さんがいくつかの鉄の塊を持ってきてくれた。


「まず、これをどう使うか説明してくれ」

剣の試し切りをするような的ってある?

「裏庭だ」

じゃあ、まずはこれを持って。

「おい、鉄の塊をどこにやった!?」

私の収納スキルの中なんだよ。

で、的はどこにあるの?

「あ、ああ。こっちだ・・・」


地面に木の棒を刺して藁を撒き付けてある。よく見かけるあれだね。名前は知らないけど。

「リーゼちゃん、大きさが小さいから当てづらいかもしれないよ。まとめてやっちゃったら?」

それがいい考えかもしれないんだよ!?


どーん!


とりあえず適当な掛け声とともにさっきの鉄の塊を的の上空に取り出す。


がすんがすんがすんがすん・・・めきゃ!


お、当たったんだよ。

「今、何をやった!?」

収納スキルから取り出しただけなんだよ。

「空から鉄の塊が降ってきたように見えたが!?」

うん、上空に取り出したからね。

「それにしてもさすが鉄の塊だね。すごい威力だよ!」

確かにこれはなかなかよさそうな雰囲気なんだよ!


「これをメテオと名付けよう!」

めてお?

「流星って意味だよ!」

おー!なんかかっこいいんだよ!

「この技があればそこそこの魔物は狩れるんじゃないかな?」

問題はどうやって当てるかなんだよ・・・

多分こんなの狼とかには当たらないと思うんだよ?

「そう言えばそれが欠点だったね・・・」

何かいい方法ないかな?


「なるほど、これが鉄の塊を使う武器ってことか・・・」

鍛冶屋さんも納得したみたいだね。

「それなら鉄よりも重くて硬いものの方がよさそうだな・・・形もいびつなものよりも球の方が良いかもしれん」

まんまる?

ギザギザした方が痛そうなんだよ?

「倒した後に毛皮が痛むだろう?それなら、毛皮を傷つけずに、骨だけ砕くようなまん丸の方が良いはずだ」

そういう考え方もあるんだね。


「ようし、おもしれえ!オレに任せろ!」

鍛冶屋さんがやる気なんだよ・・・

「オレはドズン、明日の今頃もう1度来てくれ。その時までに用意してやる!」

やっぱりドズンさんか・・・

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