第52話:黒、強敵登場
ペッ・・・でろん
「りーぜ、着いた」
突然ミロンから投げ出されたんだけど、ここはどこ?
目の前には巨大な扉。
どう見てもボス部屋の前にしか見えない。
そして騎士団のみんなはどこに?
「指揮官さん、待ってたわ」
ああ、アイリス。ここは何階層目?
「90階層目です」
そうか、ミロンが次のボス部屋まで一気に突き進んだのか・・・
アイリス、現状を報告!
「90階層までも迷宮の封鎖は終了。探索中の団員も集結済みです」
じゃあ、ボス戦の準備かな?
補給物資の配布は?
「食料及びポーションは配布済みです」
私はミロンの中に居たからダメージも疲労も全くない。
「今度こそミロンボス倒す!」
そしてミロンはやる気だ。除外すると今度こそ爆発すると思う。
ボスの確認は?
「まだ、未確認です」
各選抜小隊状況報告!
「マカロンちゃん小隊、気力十分であります!」
ここに居るのは各大隊とも選抜した1小隊のみとなっている。
大部分はここまでの道のりを確保するために兵站の保持に注力している。
もともと500人近くいてこれだ。
「グラニテちゃん小隊、魔力全快であります!」
いや、魔法使いだけじゃないでしょ?他のメンバーは?
それとも他の職業は魔法を使わないから問題ないってこと?
「クレープちゃん小隊、食欲旺盛であります!」
もはや、何の報告なのやら・・・
本人も適当に答えてるでしょ?
まあ、ともかくみんなやる気十分だってことは理解したわ・・・
もともと正式な軍隊とかじゃないからね。
所詮単なる冒険者の集まりだからね、言ってみればごっこ遊びの延長だ。
さてと、みんなやる気みたいだし、とっととボスを倒そう。
みんなのレベルもだいぶ上がってきたし、倒せないってことはないと思う。
「マカロンちゃん、扉を開けるであります!」
そう言うや否や、思いっきりドアをあけ放った。
そして、現れたのは黒い天使。しかも見たことある姿だ・・・
「我は天恵の堕天使なり、汝らに裁きを与えるものなり!」
まずい、最悪だ・・・
なんでこんなところにジブリールが!?しかも堕天使ってどういうこと?
とにかく普通に戦ったら勝てないはず。
大隊長以外総員退避!
「指揮官さん、私もですか?」
アイリスも退避。あれはヤバい相手。
「では、副官殿の代わりは私が勤めます!」
シシリー!助かるけど・・・
出来れば私だってあれとは戦いたくない。
「クレープちゃんも逃げたいであります!」
本能的に怖さを悟ったのかな?
黒い翼と黒い天使の輪っか。これが堕天の証なのかな?
しかし・・・さて、どうする?
出来れば仲間にしたいところだけど、無理かな?
話し合いでどうにかなる雰囲気じゃなさそうだし・・・
あとは最後の切り札が効くかどうかかな?
ところで裁きって何なのかしら?
「ここまで侵入した罪だ」
なるほど、でも、私はあなたに会いに来たのよ?
天恵の大天使ジブリールでしょ?
「それはかつての名前だ。なぜそれを知っている?」
以前に仲間だったからね。
「手遅れだな。私はすでに堕天している。貴様の知っている私とは違う!」
ふーん、あんたが何をして堕天したんだか知らないけど、ここを通してくれないわけでしょ?
「当然だ、ここの守護者だからな」
さて、どうしようか?
堕天使ってことは神聖魔法が効くのかな?
しかし元々は天使で神聖魔法や神剣も使ってた。
暗黒魔法だって効かないだろう。
試してみるか・・・
『いと高きところ、楽園に座す乙女よ、その偉大なる御力をもって、我に仇なす愚かなものに、等しく滅びを与えんことを!ディバイン・バスター!!』
神聖魔法の極大呪文。どんな反応を見せるか?
「その程度なら防ぐまで無い!」
せめて避けるか防ぐくらいはしてほしかったんだけど・・・
『三千世界!!!』
シシリーが私の魔法をコピーする。
ジブリールの周りをぐるりと取り囲むように複製された私の『ディバイン・バスター』が展開された。
「並行世界に干渉しての攻撃の多重化!?」
さすがに驚いてくれたかな?
『一斉砲撃!』
私の合図とともにすべての『ディバイン・バスター』がジブリールに襲い掛かる。
この程度でどうにかなるとは思っていないし、まだまだ行くよ!
『まじっくあろぉー!ぴたぴたぴたぴたぴたぴたぴたぴた・・・』
グラニテちゃんが私の魔法が着弾したジブリールの周りを魔法の矢で埋め尽くす。
座標固定の魔法の矢を結界の代わりに使っているのかな?
相変わらずやることがめちゃくちゃなんだよ・・・
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