第49話:白、カモミールさんとの出会い
「私がエベレストよ!」
小さい女の子だね。
-弱い方ですね-
-弱い方なんだよ-
安心したようながっかりしたような・・・
「弱い方ってどういう意味よ?」
ああ、それは気にしなくていいんだよ。
エベレストはドラゴンの人だよね?
「そうよ!」
みんなを乗せて空を飛べる?
「無理ね、私まだ飛べないもん・・・」
思った以上に弱っちいんだよ!?
「もしかして、おばあ様と比べてるの?」
やっぱり代替わりしたばかりなんだよ・・・
とりあえずはポコスケみたいなやつにうっかり殺されないように注意が必要なんだよ。
「では、エベレストも確保ですね?」
もちろんなんだよ。
弱っちくても、伸びしろはすごいはずなんだよ。
「まあ、龍神王ですからね・・・」
他にはめぼしい人はいないかな?
錬金術師はベリーが居れば大丈夫だと思うし、鍛冶屋もククリを見つけたからね。
「ついでに魔法の先生も見つかればいいですね」
ルルアさんが居ればいいんだけどね。
エルフの隠れ里に行けばいいのかな?
ちなみに、ロロアは隠れ里の場shって知ってる?
「別にエルフの里は隠れていませんけど?」
迷いの森の中にあるんじゃないの?
「そんなことありません!」
まあ、移動手段を手に入れてから行ってみればいいんだよ。
向こうの世界とは国が違うからね、姫様たちはこの世界ではどうなってるんだよ?
「姫巫女騎士団のメンバーですね?」
こっちの世界には彼女たちの国はないからね。
平民として存在してたりするのかな?
「そういう可能性もありますね・・・」
まあ、現状唯一の王族の知り合いのタルトに聞いてみるんだよ。
「ほかの国の姫の名前ですか?」
もしかすると有力な候補が居るかもしれないんだよ。
「うーん、そういう事情なら仕方がありませんね・・・」
そもそもどんな国があるのかも知らないんだよ。
「では、それは次の課題ということにしましょう!」
そう言って、再び応募書類の束が渡されたんだよ・・・
「まずは目の前の仕事をきっちりと終わらせましょう!」
なんだか面倒になってきちゃったんだよ・・・
「この名前は?」
グレイスが気になった一枚を手渡す。
カモミール?記憶にないんだよ?
「カモミールとは古代語デイジーとも言います」
もしかしてディジィばあちゃん?
確かに年齢はおばあちゃんみたいだけど・・・
かわいい女の子の年齢をはるかに超えてるのによく応募してきたんだよ・・・
「それと、デイジーとはヒナギクという意味もあります」
まさかヒナギクさん!?
これはどっちにしてもすごい人材なんだよ!
どうする?若返らせちゃう?
「とりあえずは会ってから確認ではないですか?」
そうだね、ロロアの言う通りなんだよ。
「ちなみに職業は『無限魔導師』となっていますね・・・」
タルトがカモミールさんのステータスを読み上げる。
「MPの表記がおかしいですね。これはどうしたんでしょう?」
間違いない、ヒナギクさんの方なんだよ!
MPが無限に使えるんだよ!
この人を連れてきてほしいんだよ!
「こんなおばあちゃんでも、勇者様のお役に立てるかねぇ?」
私の魔法の先生になってほしいんだよ。
「私の魔法は普通じゃないけどそれでいいのかね?」
もちろんなんだよ!
お手本を見せてくれれば何の問題も無いんだよ!
でも、その前にこのお薬を飲んで欲しいんだよ。
「綺麗なお薬だね・・・」
カモミールさんは渡したお薬を飲まないで目の前に掲げる。
「アナライズ・オブジェクト」
カモミールさんが呪文を唱えると、お薬が淡く光って空中に文字列が表示される。
「あらあら、すごいお薬なのね・・・」
今のって鑑定の魔法?
こんな風に表示されるの?
「あの、勇者様?何がどこに表示されているのですか?」
あれ?タルトには見えないの?
「むしろ、勇者様はこれが見えるのかい?」
もしかして普通は見えないヤツだったんだよ・・・
まあ、普通は見えないものが見えるのは私にはよくあることなんだよ。
「このお薬は勇者様が作ったのね?」
そうなんだよ。ぜひともカモミールさんに飲んで欲しいんだよ!
「すごいお薬だけど、こんなのを飲んだところで対して効果は無いのよ?」
足りなければいくらでもあるんだよ!
どさっとタルを取り出す。
「あらあら、じゃあ遠慮なくもらうとしようかね?」
ジョッキでごくごく飲んでるけど、大丈夫?
飲みすぎると若返り死ぬんだよ?
「大丈夫よ、そんなへましないから!」
カモミールさんがグレイスと同じくらいの年齢になったんだよ!
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