第48話:黒、ミロンのステータス

「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」


いつもの挨拶を聞きながら真直ぐとカウンターに向かう。

「これはこれは騎士団長様、追加登録ですか?」

そうよ、この娘をお願い。

この受付嬢は私のことを騎士団長と呼ぶ。

まあ、冒険者クラン『黒猫メイド騎士団』のクランリーダーだから間違ってはいない。

クランのメンバーたちは『指揮官殿』と呼ぶ。アイリスだけが『指揮官さん』だ。


「じゃあ、この石板に手を乗せてね」

ミロンが石板に手を乗せれば、黒く虹色に光る。

全員がこう光るわけじゃない。それなりの力を持ってる存在だけ。

「久しぶりに光りましたね!」


名前:ミロン(おもち)

年齢:13

性別:女

種族:プリンセススライム

職業:リーゼのペット

ランク:G

レベル:1

HP:100

MP:100

ちから:100

すばやさ:100

かしこさ:100

きようさ:100


状態

テイム


スキル

精霊魔法:1

神聖魔法:1

暗黒魔法:1


レアスキル

スライムの祈り:1

古代語魔法:1


「あら?騎士団長様のペット?」

まあ、そこは気にしなくても良いわよ?種族を見て頂戴。

「あら?スライムなんですか?こんなにかわいいのに?」

スライムは元々かわいいんだよ?

ミロンがスライムの姿になる。

「わぁ!本当にスライムなんですね!そしてかわいいです!」

シトラスさんが受付業務を忘れミロンにほおずりしている。


「りーぜ、ダンジョン戻る?」

ええ、ここでの用事は終わったからね。

「じゃあ、今度はミロンがりーぜを運ぶ!」

ミロンが私を?


いきなりミロンが私を包み込んで動き出す。すごい速さで・・・

なにこれ?これってミロンの中に私が居るのよね?

ミロンがすごい速さで移動している。転がっている?でも、視界は回転しない。

街道を爆走するピンク色のわらび餅。馬車なんて比べ物にならない速度で・・・

おそらくはグリップ力が違うんだろう。それに多少の段差をものともしない柔軟性もある。

それゆえの高速回転移動。中の私が安定しているのはどういう仕組みなんだろう?


「ダンジョン着いた。このままさっきの部屋まで行く」

今度はさらに速度が上がる。

ぽよんぽよん弾んだかと思うと、床や壁や天井を区別せずに縦横無尽に飛び跳ねる。

既に迷路をつぶして一本道になってるから出来る。

すごい速度で通路を進み、途中にすれ違ったり追い抜いたりするメイドさんたちを器用に避ける。

25階層も50階層もスルーして通路をひたすら突き進む。

あっという間に75階層に到着した。


「着いた」

ペッと、ミロンの中から排出される。それと同時にミロンも人の姿になった。

別に服や身体が濡れているわけでもないし、ベタベタすることもない。

不思議だ。それにあの速度で無茶苦茶に跳ね回った割に視界はずっと一定だった。

揺れることもブレることもなく正面を向いたまま。


「あら、指揮官さん。結構早かったですね・・・」

ただいま、アイリス。ミロンを登録してきただけだからね。

「ついでに甘味などを仕入れて来てくれればよかったのに・・・」

それもあと少しの我慢じゃないかな?

このダンジョン攻略が終わったらゆっくりと休もう。

「海が良いと具申いたします!」

グラニテちゃんがずびしっと敬礼をする。

「やはり、温泉が良いと具申します!」

クレープちゃんは温泉派か・・・

別に全員一緒じゃなくて、それぞれ別々でいいのよ?

この人数じゃ一緒に行く方が大変だし・・・


「じゃあ、誰が指揮官殿と一緒か勝負だね?」

なぜそうなる?

マカロンちゃんは私と一緒が良いの?

「それはみんな一緒です。誰しもが指揮官さんと一緒に居たいと思っています!」

アイリスに両肩を掴まれて力説された。

「りーぜはミロンと一緒。これは決定事項」

ミロンもか・・・まあ、前の世界ではミロンは私の枕担当だったし。

「ずるい!指揮官さん私も枕にどうですか?」

アイリスは枕じゃないと思うんだよ?

「では、私を抱き枕として・・・」

グラニテちゃん・・・


そんなことよりもまずはダンジョンの攻略なんだよ!

「では、迷宮の主を討伐したものが我が神とともに休暇を取るということでよいな?」

何を言っちゃってるのかしら?このヤキニクタベホーダイは!?

「では、シャノンの提案を採用しましょう!」

アイリスまで!?

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