第34話:黒、部隊の準備を整える
ただいま、これがみんなへのお土産よ。
ここはマカロンちゃん小隊の宿泊している宿。今は宿屋業務をしている。
「おお!王都のお菓子ですね!」
時間は昼過ぎ。結局王都への護衛は半日もかからずに終了。
すでにギルドへの報告と報酬の受け取りも終わっている。
そうだ、誰でもいいから馬車を操作出来るようになってね。
「御者ってことですよね?」
そうよ。移動するときに馬車を使うからね。
なるべく早めにね。出来次第すぐに出発するから。
「まだ、明日も講習があるんですけど?」
ん?どういうこと?
「御者のまねごと程度であれば問題ありませんよ?」
うちの娘が思った以上に優秀な件について・・・
じゃあ、みんなの講習が終わったら出発ね。
「どこに行くのでしょうか?」
ここと王都を何回か往復する感じかしら?
とにかく盗賊とか山賊?そう言った輩を根絶やしにするのが目的よ。
それと仲間を増やすってのもあるわね。
「仲間が増えるんですか!?」
増やすわよ?まだまだドンドン。
村というか街というか国くらいまで!
「国ですか!?」
研修は色々とやったけど、実戦が不足してるのよ。
練習で出来ても本番でダメってのはよくある話だからね・・・
「ゴブリンの討伐ですか?」
それもいいけど、目標は盗賊の生け捕りだからね。
「生け捕りですか・・・」
まあ、討伐するよりも何倍も大変よ。
でもね、私と居るときに限って言えば、とても簡単なことなのよ。
「何故です?」
私が魔法で眠らせたのをロープで縛るだけだからよ。
「でも、それでは訓練になりません」
訓練?そんなのはダンジョンでやればいいのよ。
今はまだ準備期間なの。出来るだけ楽に準備していいのよ。
訓練なんて準備が終わってからよ?
「了解です!」
じゃあ、馬車を調達してくるわね。
とりあえずは1台幌馬車を調達。主に荷物(盗賊)を運ぶ用。
立ったまま詰め込めば30人くらい入るんじゃない?
どうせ最寄りの街まで送り届けるだけだし、居住性なんか皆無で十分。
もう1台、乗合馬車なんかに使われる箱馬車も購入。
こちらは部隊の移動用。2小隊分12人が乗れる。
両方とも出来合いの物だからすぐに引き渡しになった。
あえて何の装飾もしていない。騎士団の紋章すら入れていない。
代金は金貨50枚で馬車としては安いけどそこそこ手痛い出費だ。
「指揮官さん、とりあえず1小隊分だけ制服が出来たわ」
うーん、指揮官と呼ばれるのがなんかしっくりこない。
早速マカロンちゃん小隊の娘達を着替えさせる。
「見た目はメイド服ですね・・・」
マカロンちゃんの感想を聞きながらぐるぐる回って観察。
胸に騎士団の紋章が刺繍してある。それ以外はメイド服に見える・・・
足元のブーツもそれほどゴツくはない。
全体的にはかわいいと思う。
「サイズの微調整あったら言ってね?」
そう、これは完全に個人向けに調整されて作成されるオーダーメイド。
マカロンちゃんが身体を動かして確認する。
「動きやすいです」
可動域を阻害されることもなさそう。
「ところで、隊長さんは何か目印を付けた方がよかったですか?」
うーん?
リボンでもつける?
「で、これが指揮官さんの制服よ!」
明らかにデザインが他と違う。いや、基本的なところは同じだけどそもそも色が違う。
みんなのは白と茶色の2色構成なんだけど、私のは黒い。よく見ると黒と黒?
それにいたるところに装飾が施してある。
うん、まあ、悪くない。と言うか、かなり良い。
でも、かなり目立つのでは?
「一応、指揮官さんはこの国の王様的な立場なんでしょ?」
まあ、国どころか村ですらないけどね・・・
アイリスはこのまま制服の作成を続けて。
「基本形は用意してあるからサイズを調整すれば完成よ」
今後も人数が増えるから忙しくなる・・・と思うわよ?
そう言えば武器は?
「サーディン武器店で全員分購入しました」
とりあえずの間に合わせはそれでいいか。素材がないもんね。
ゆくゆくは鍛冶屋も必要ね・・・
でも、これで最低限マカロンちゃん小隊は出撃が可能と・・・
そうだ、私の小隊メンバーの分の装備を優先して。
「私も入ってるんですよね?」
アイリスが聞いてくる。
もちろんよ!
「製作物の品質を上げるためのレベル上げでしたっけ?」
そう!とても重要なのよ!
だから、アイリスは優先的にレベルを上げないとね!
そうそう、重要なものを忘れてたわ。
縄を大量に補充しておかないとね?
あとはついでにポーションも作成して・・・
食料もか・・・これは食材と調理器具を持ち歩けばいいかな?
なんせ、みんな料理が出来るわけだしね!
そして数日後、みんなの講習も終わり準備は整ったんだよ!
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