第28話:黒、今後の予定を説明する

「では、リーゼロッテの飛行魔法での移動をするとして、往復でだいぶ日程の削減が可能だな?」

王都にどれくらい滞在するか知りませんが、往復の移動に関する分についてはだいぶ削減されるかと。

「それは謁見にどれくらい待たされるかにもよるな・・・」

まあ、王様だからね。いきなり会ったりは出来ないか。


それで、出発はいつごろになるのでしょうか?

「リーゼロッテの準備が出来次第だな。とはいえ、そんなに時間はかからんだろ?」

まあ、私一人で移動するのであればそもそも持っていくものもないし。

私はにこりと微笑んで答える。


今すぐでも問題ありません!


「それはうれしいがこちらの準備にしばし時間がかかる。出発は3日後でよいな?」

もちろんです。

私が即答すると、領主様も笑顔でうなづいてくれた。


さてと、しばらく留守にすることを伝えて、その間の指示をしておかないと。

基本的には冒険者ギルドと料理ギルドの講習、宿屋の修行に拠点の警備ね。

親方たちが安全に工事出来るように魔物なんかから守ってあげないとね。

ああ、どうせだから壁で囲っちゃいましょうか?

そうすれば、そこら辺に居る雑魚の魔物なら入ってこれないでしょう。

でも、どうせ作るなら親方の指示に従った方が良いわね?


とりあえずはギルドかしら?

今どんな順番かは把握してないけど、誰か居るはずよね?


「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」


入り口に入って中を伺っても見当たらない。

おそらくどこかの部屋で講習を受けているのだろう。

仕方がないからカウンターで聞いてみる。

「初心者講習ですか?」

私のクランのメンバーが受けてるはずなのよ。

「ああ、『黒猫メイド騎士団』の方々ですね?今は『マカロンちゃん小隊』のメンバーが受講しています」

講習は午前だけじゃないの?

昼の鐘が鳴ってから領主様と打ち合わせをした。

だから、講習の後どこに行ったかを聞こうと思った。

「午前中は『グラニテちゃん小隊』のメンバーが受講していました」

え?

1日に2組が受講?

もしかして料理ギルドの講習も1日に2組が受けているのだろうか?

思ったよりもハイペースだった。


料理ギルドの方にも確認に行ってみる。

予想通りに、こちらでも2組目が受講中だった。

「午前中は『クレープちゃん小隊』のメンバーが、今は『グラニテちゃん小隊』のメンバーが受講中です」

様子を見てもいいかしら?

受付のお姉さんに案内されて受講中のグラニテちゃんたちの様子を確認する。

まだ少しぎこちないけど、普通に料理をしているように見える。

流石にグラニテちゃんも今はレベルが低い。並程度の腕前にしか見えない。


まあ、それはそれとして・・・

クレープちゃん達は宿屋で修行なのかな?

行ってみよう!


「いらっしゃいませ!あ、ご主人様・・・」

クレープちゃん、調子はどう?

「一通りの作業の手順は覚えました!」

なるほど、他のグループは講習を受けてる最中だったから会えなかったんだけど、

領主様の依頼で3日後から数日の間王都に行ってくるのよ。

その間に拠点の建物の建て直しも行うから、しばらくの間はそのまま宿暮らしね。

「分かりました!」

それと、工事期間中に交代で親方達を護衛してほしいのよ。

他のグループのみんなにも伝えておいてね?

「はい!『マカロンちゃん小隊』と『グラニテちゃん小隊』ですね!」


一応、拠点の周りには壁を作るつもりだけど、それで安心はしないでね?

「もちろんです。空を飛ぶ魔物が襲ってくるってことですよね?」

いえ、そこまでのことではないけど・・・

壁を乗り越えてきたり、普通に門から入ってくるかもしれないってことよ。


「ご主人様が不在になる期間はどれくらいなんでしょうか?」

王都にいくだけなら半日程度なんだけど、領主様の用事がどれくらい時間がかかるか分からないのよね・・・

「王都って意外と近いんですね?」

馬車だと10日ほどかかるそうよ?

「え?」

私が領主様を抱えて空を飛ぶのよ。

「ご主人様は空が飛べるんですか?」

自分だけよ?他の人を飛ばすのは今は出来ないわ。

「はあ、だから領主様を抱えるんですね・・・」

そう、あくまでも持ち物として持っていくって感じね。

「では、領主様の用事次第では2~3日で終わる可能性も?」

出来ればそれくらいで帰ってきたいわね・・・


ああ、そうそう。拠点の設備に希望があれば親方に伝えておいて。

厨房なんかはあんた達が使うんだし、使う人の意見を尊重するわ。

一応、宿屋のようなイメージとは伝えてあるから、それと著しく逸脱するのはダメよ?

「分かりました。宿屋風ですね?」

ちゃんと理解してるかちょっと不安なんだよ・・・

「大丈夫です。お任せください(お風呂を広くしよう)」

あ、私の部屋はすでに注文済みだからね?

「分かりました。ご主人様の部屋は注文済みと・・・(ご主人様『と』の部屋を追加しよう)」

本当に理解してるのかしら?

なるべく早く帰れるように努力するから!

「ゆっくりでいいですよ?王都のお土産とか期待しています」

まあ、時間があったらね。(絶対何か企んでるんだよ・・・)

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