第26話:黒、道を作る
よし、だいたいそんなところね!
「元ある建物は取り壊しってことでいいな?」
使えそうな部分があればそれを利用してもいいけど・・・
「無理に再利利用するよりも建て直した方が間取りが自由に出来る」
それもそうね。
間取りはさっき言ったような感じでお願いね。
「料金の安い宿屋を建てるイメージでいいんだよな?」
概ねそんな感じよ。
じゃあ、街に戻るわよ?
再び親方を抱き抱えて空を飛んで帰る。
「それにしてもすごい魔法だな・・・」
そうよ?結構覚えるのに苦労したんだから!
はい、到着!
「あっという間に街の門に着いた・・・」
そうだ、ついでに拠点までの道を整地しましょう。
確か、まずは・・・
-ウィスプがジュッとやったのよ-
『ジャッジメント・レイ』
左手を前に突き出し、極太の光の奔流が地面を薙ぎ払う。
四角くするのがコツだったかしら?
-ノームが岩を出して敷き詰めたよ-
-シルフが粉々に砕いたのよ-
-ウンディーネが砂を水を混ぜてコネコネしたのよ-
-サラマンダーが焼いたんだよ-
これはまとめてやらないとダメなのよね?
『グランド・ウォール』
『テンペスト・ブラスト』
『タイダル・ウェイブ』
『インフェルノ・フレイム』
石を敷き詰めて風で粉砕して水で練り混ぜて火で焼き固める・・・
簡単に言うけど、極大魔法の4連続はキツイ。普通はこんなこと出来ない・・・
-最後にシェイドがギュっとして完成-
超重力で圧縮か・・・
『グラビティ・プレス』
どうにかなったけど、自分でやるのは面倒だしそれなりに消耗が激しい。
早く精霊の力を存分に使えるようにしないと・・・
「今・・・何をやった?」
道を整備したのよ?
「こんなになめらかな道は王都にも無いと思うぞ?」
ここにはあるんだからいいじゃない。
何もかもが王都が先端を行ってるってわけじゃないのよ?
「そうかも知れんが・・・この素材は何だ?」
普通の岩よ?作る工程を見てたでしょ?
「魔法で一瞬にして道が出来たようにしか見えなかったが?」
光でゴミを消去して、岩を風で砕いて水で練って火で焼いた。仕上げに闇で圧縮ね。
「随分と簡単に言うな・・・」
私にとっては大したことじゃないもん。
宮廷魔導師とかが数十人いれば同じようなことが出来るんじゃない?
「まあいい、余計なことは聞かないことにしよう。命が惜しい・・・」
そろそろギルドに戻らないとだめかしら?
「昼の鐘まではそれほど時間もないだろう・・・」
じゃあ、ここでお別れね。私はギルドに行かないと。
「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」
カウンターに並んでいると、ギルドマスターに声をかけられた。
「なぜ、直接わしの部屋に来ない・・・」
ちゃんと並ばないとダメかと思いました。
「それよりも、さっさと領主様のお屋敷に行くぞ?」
この前は追い返されたからね。
ギルドマスターが入り口の門番に書状を渡す。
「お待ちしていました」
執事っぽい人ね。
さすがに紹介状の力は効果抜群だ。
私一人じゃここまでこれなかった。
執事っぽい人に会議室のような小さな部屋に案内されて、メイドさんがお茶とお菓子を持ってきた。
ソファーに座ってお茶を飲んでいると、しばらくして領主様がやってきた。
想像していたおっさんじゃなくて、若いお兄さんだった。20歳くらいかな?
「私がこの街の領主のジード・フォン・ゾフトです」
冒険者のリーゼロッテよ。
「それで依頼の件だけど、見ての通り若い私がなぜ領主なのかと言うと、父が病で急逝したからなのです」
なるほど、想定外の代替わりで若い領主なのね?
「そして、領主が変わったことを王に報告しに行かないとならないので、そのための護衛を頼みたいのです」
それでは、割と急ぎですね?
「そうですね・・・」
領主様お一人だけであれば、早急に王都にお届けすることも可能ではあるのですが・・・
「それはどういうことですか?」
私が領主様を抱えて空を飛びます。
「なんと!空が飛べるのですか!?」
ええ、馬車とは比べ物にならない速度が出ます。
魔物にも盗賊にも襲われる心配もありません。空の上ですので・・・
まあ、ワイバーンなどに出会わなければの話でもあるのですが・・・
「しかし、それは魅力的な話ですね。馬車では10日ほどかかる距離なのですが、どれくらいで行けますか?」
その程度の距離なら、朝の鐘に出れば、昼の鐘のは間に合うかと・・・
しかし、自分一人ならともかく他人を抱えて飛んだのはごくわずかな時間しか経験が無いので・・・
「なるほど、試してみないと何とも言え無いというわけですね?」
途中何度か休憩が必要かもしれません。
「検討する余地は十分にありますね・・・」
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