第25話:白、救助活動

さてと、言い訳用の獲物もゲットしたし、国境を越えちゃおう。

ロロアの案内で森の中をずんずん進んでいく。

「そろそろ国境のあたりのはずです」

見た感じ国境の壁は無さそうなんだよ?


「おそらく、この辺りまでくれば国境は越えているはずです。あとは近くの街を目指しましょう」

とりあえず森から出ようかな?

「ついでにもう少し魔物を狩っておきましょう」

再びロロアの案内で森から街道へ向かう途中に大きめのヘビとか数匹をゲットしたんだよ。


森を抜けるとそこそこ広い道が見えてきた。

「おそらく現在地はこの辺なので、街道沿いに右に進めばダンジョンのあるバビロニアに到着します」

でも、今日はすでに日が暮れてるんだよ。

見える範囲には街は無いから野営の準備をしないと。


「これって絶対野営じゃないよね・・・」

なんで?

ちゃんと焚火してるんだよ?

「焚火ですか・・・」

テントもあるし。

「テントねえ・・・」

ローズがぐるりと周りを見て一言。

「なんで全部が室内なの?」


そう、焚火もテントもログハウスの中にあるんだよ。

「これってテント必要?」

ミシェールが不思議なことを言う。

野営はテントって聞いたんだよ?

「うん、まあ、外ではね・・・」

お外にテントを張ると寒いんだよ。

ロロアは寒くても大丈夫なの?

「普通にログハウスのままでいいんじゃない?」

チチカカは風情ってものを理解してないんだよ・・・

わざわざ野営用のログハウスを特注したのに!


「おなかが減ってるからじゃない?」

グレイスがおいしそうなシチューを作ってくれたんだよ!

「普通にご飯が食べられるのね・・・」

もしかして野営ってご飯食べないの!?

「そんなことは無いけど、普通は干し肉とかの携帯食ね」

あれは顎が疲れるんだよ。


「でも、パンは堅パンなのね」

これは私が好きなんだよ。スープやシチューにつけるとおいしいんだよ!

「確かにおいしいけど・・・」

ローズが堅パンをシチューに浸して食べる。


ふぁぁ・・・おなかがいっぱいになったら眠くなったんだよ・・・

「見張りはどうするの?」

ちゃんと鍵をかけたから大丈夫だと思うんだよ?

「うん、そうだね。室内だもんね・・・」

そんなわけで寝袋に潜って寝る。スヤァ。


「家の中でテントを張って寝袋で寝る意味が分からない・・・」


--翌日--


う、動けないんだよ!?

目が覚めるとなぜか身体が動かない。たしか寝袋で寝てたはず・・・

わずかに動く首を動かすと確かに寝袋で寝ている。

グレイスが私の寝袋に無理やり入ってきてるんだよ!

だからギュウギュウで動けないんだよ?誰かたっけてー!


「うわぁ、すごい事になってるね・・・」

チチカカ、助けて欲しいんだよ。全然動けないんだよ!

「全然抜けないんだけど、これどうやって入ったの?」

知らないんだよ!目が覚めたらこの状態だったんだよ!


「寝袋をアイテムボックスにしまえばいいんじゃないの?」

ナイスなんだよロロア!

「残念、密着タイムが終わっちゃったわ・・・」

グレイスは人の寝袋に勝手に入っちゃダメなんだよ!

「仕方ないわね・・・(今度は私の寝袋にリーゼちゃんを詰め込みましょう)」

朝ごはんを食べたら、出発なんだよ!


ログハウスをアイテムボックスにしまって街道に向かって歩いていく。

「この街道を向かって右方向に進んでいけばダンジョン街に着くはずです」

歩くと結構時間がかかるよね?

「馬車でも数日かかるはずです」

チチカカに乗れれば楽なのに・・・

まあ、そのための素材を作りにダンジョン街に行くわけだけど。

「まあ、まずは近くの街に行ってそこから馬車に乗りましょう」

まあ、私はグレイスに小脇に抱えられての移動なんだけどね?


「おや?遠くの方で馬車が襲われてるよ?」

盗賊?魔物?

「どっちでも構いません!助けましょう!」

そうだね、うまくすれば馬車に乗れるかもしれないんだよ!


「あー!盗賊だよ。貴族の馬車かな?」

確かに豪華な感じの馬車なんだよ。

護衛の騎士とか冒険者とかは?普通居るはずなんだよ?


グレイス、とりあえず無力化して。

「敵味方がわかんないから全員捕縛しますね?」

グレイスが気配もなく忍び寄って全員を縄で縛ったんだよ・・・


さて、馬車の中は無事かな?

「いやぁぁあぁぁ、やめてぇぇぇぇぇ!!!」

貴族のご令嬢っぽい女の子を騎士っぽい人が押し倒してるね。

どういう状況なんだよ?

でも、女の子が泣いているってことはこの騎士は悪いヤツだと思うんだよ!

「びゃぁあぁぁん、助けてくださいぃぃぃ!!!」

とりあえず、馬車をアイテムボックスにしまう。


グレイス!この騎士を無力化!

「お任せください!」

音もなくグレイスが忍び寄ってきて騎士をぶん投げる。

「なっ!?」

これでとりあえずは収まった感じかな?


「え?馬車が・・・」

ポカンとしてるお嬢様にポーションを振りかける。

大丈夫?痛いところない?

「あ、はい・・・」

落ち着いたら状況を説明して欲しいんだよ?

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