第23話:白、国境突破作戦

ところで、魔法学院ってどこにあるんだよ?

「この国の王都ですね。馬車で20日ほどかかります・・・」

そんなに!?移動だけで何も出来ないんだよ!?

うーん、どうしようかな・・・

移動だけにあんまり時間を使えないんだよ。

そうこうしているうちに相手の陣営も強化されてるはずだしね・・・


「そもそも、移動時間の短縮のために布を手に入れるんだから、20日もかかるのは本末転倒では?」

ロロアがいいことを言った!

「それにダンジョンにはどちらにしても向かいます。レベル上げも必要ですから」

グレイスの言う通りなんだよ!

それにダンジョンコアも手に入れたいしね。


「では、どうしましょう?」

国境が通れないのが問題なんだから、他のダンジョン?

この国にはダンジョンはないの?

「あるにはあるのですが、王都の反対側なので馬車では45日ほど・・・」

うーん、移動でこんなに苦労するとは思わなかったんだよ・・・


そうすると、どうにかして国境を突破するのが手っ取り早そうだね。

何かいい方法はないかな?

「チチカカが暴れてその隙に突破するというのは?」

うん、ミシェールがとんでもないことを言い出したね。

「それって私がお尋ね者になってしまうのでは?」

むしろ討伐対象だと思うんだよ?


「なんか袖の下的なものでどうにかなりませんかね?」

グレイスもとんでもないことを言うけど、賄賂になるようなものなんて持ってないんだよ?

「リーゼちゃんのお薬ですよ」

なるほど。

それならいくらでもあるんだよ。


「あとはタイミングよく事件でも起こってくれると楽なんですけどね・・・」

ロロアも物騒なことを呟いてるし・・・


まあ、遠回りするよりも目の前の国境を越えるのが楽そうだしね。

どうにかならないかな?普通に関所の人に賄賂を渡してみる?

それとも、この街の領主さんとかの方がいいのかな?

でも、領主さんなんて普通はなかなか会えないよね?

「そうですね、おそらく門前払いでしょう・・・」

いいところ門番さんに貢物を取られて終わりだと思うんだよ。


「では、どこかしらで国境を強行突破してバレた時に貢物と言うのは?」

ミシェールが天使とは思えないほどの黒い作戦を提案したんだよ・・・

「国境とはいえ、ずっと壁があるわけではありません。山や森や川など壁が無いところもあります」

そうかもしれないけど、そんなところは普通の人は通れないほど険しい道だと思うんだよ?

「わずかな時間であればチチカカに軽く握ってもらって突破出来るでしょう」

うっかりつぶされないように樽に入ってる状態で握ってもらうんだよ。


「では、とりあえず山を越えると言う感じで?」

そうだね。

なるべく人気のないところをチチカカで越える感じ?

「壁が無ければその必要もありません。壁の無い場所を探しましょう」


大まかなやつでいいから、地図ってない?

「私が持っています」

ロロアが持っていた地図を広げる。

えーと向きはどうなってるのかな?

ミシェールが現在値を確認して地図を回転させた。

「この向きですね。そして、今いるのがここです」

ダンジョンのある街はどこ?

「ここですね。バビロニアの街です」

地図上の位置関係を確認する。


少し遠回りだけど、ここに川があるよね?

「川の中には壁は無いと思いますが・・・」

川の中に壁を作ると川がせき止められちゃうからね。

「その手前の森の中はどうでしょうか?」

この辺?

私が指をさすとミシェールがうなづく。

「魔物の討伐のために森をさまよっていたという言い訳が可能かと」

それはいいかもしれないんだよ!


そんなわけで、森の中の道なき道を進んでいます。グレイスに小脇に抱えられながら・・・

今回はステータス的には弱っちく無いんだよ?

「だって、リーゼちゃん歩幅が小さいじゃないですか・・・」

まあね、身体は小さいからね・・・


「ところで方向はあってるのですか?」

なんせ森の中だからね。目印なんてほとんど無いようなものなんだよ。

「問題ありません、森妖精と言うのは伊達じゃないんですよ?」

エルフのロロアだけが頼りなんだよ。


「それと、言い訳のための魔物もいくつか狩っておきますか?」

それもそうだね、わざわざ探してまでは狩る必要は無いと思うけど、見かけたら狩る程度でいいんじゃないかな?

「では!」


グラッ・・・ズズゥゥゥン!!!


グレイスが指パッチンをすると、物凄い音がして何かが倒れたんだよ?

「クマですね・・・なかなかの大物です」


名前:ギガントタイラントベア

品質:A

説明:そこそこおいしい


ギガントタイラントベアって名前のくまさんだね。

ランクAでそこそこおいしいだって。

「魔物を鑑定出来るのですか?」

名前とランクと味が分かるんだよ。

「なぜ味・・・」

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