第20話:黒、服を用意する

「み、皆さんの登録が終わりました・・・」

あら、ちょっとお疲れみたいね?

「登録料が銀貨105枚になります」

金貨1枚と銀貨5枚を渡す。意外とバカにならない金額ね・・・

で、みんなのステータスと言うかスキルを確認したいんだけど?

「こちらにまとめてあります」

人数が多いから助かるわ。これは後でゆっくりと確認しましょう。


「それと初心者講習ですが、人数が多いので数回に分けての実施となります」

まあ、仕方ないわね。無理言ってるのも自覚してるし。

「パーティー登録ですが、こちらの用紙に記入してください」

どれどれ?


・パーティー名

名前ね・・・『黒猫メイド騎士団』ちょっと立派すぎかしら?


・パーティーリーダーの名前

リーダーは私。『リーゼロッテ』と・・・


・メンバーの名前

これはみんなに名前を聞きながら記入する。

これでいいかしら?


「はい、『黒猫メイド騎士団』で登録します。が、人数が多いのでクランとしての登録になります」

そうなの?

「その場合、追加で拠点の情報も必要なのですが・・・」

森の中の小屋なんだけど、街の外だから住所が無いのよね・・・

「まあ、それで登録しておきますね・・・」

地図あるかしら?

受付のお姉さんが簡易地図を取り出す。

この街の近辺だけが載ってるものだ。そこでおおよその場所を指さす。

「この辺ですね?」

お姉さんが地図に丸印をつける。

ついでに建物の補修とか改築もしたいから大工を紹介して。

「わかりました、明日までに話を通しておきます」

明日もやることが多そうね・・・


次は服かしら?メイド用の服って普通に売ってるのかしら?

「おそらく仕立ててもらう感じかと?」

受付のお姉さんも知らないみたいね。

まあいいわ、どこか服屋を紹介して。


みんなを引き連れて紹介してもらった服屋にやってきた。

「はあ、メイドの服ですか?」

見たことない?お貴族様の家で家事をする女性が着ている服よ?

「いや、知ってますよ。ああいった服は仕立てるのが基本ですからね、この店にはありませんよ」

別にあれそのものじゃなくていいのよ。

例えば、食堂の給仕の服とか、ギルドの受付嬢の服とか・・・

「なるほど、言わんとしていることはわかります」

既成の服でそれっぽく見せる事が出来ないかしら?

なんだったら仕立ててもらってもいいんだけど、お金はともかく時間もかかるでしょ?

この娘達がすぐに着る服が欲しいのよ。

「当面の間は適当な古着を着てもらって、その間に仕立てると言うのはどうでしょう?」

そうね・・・それでお願いするわ。


「では、当面の間身に着けていただく古着を選んでください」

あなたたち自分の好きな服を選びなさい。

普段着ではあるけれど、作業着でもあるから動きやすい服装ってのも重要よ?

みんな地味っぽい村娘風の服を選んだようだ。

「ご主人様、あの・・・私たちは・・・」

ああ、獣人の娘達ね。獣人用の服はないからね。尻尾の穴が無いのね・・・

「尻尾用の加工ならすぐ出来ますよ」

じゃあ、それもお願い。

これでボロイ服は卒業ね。まあ、古着ではあるけど品質は悪くないものばかりだし。

「尻尾用の加工賃や端数なんかはおまけして全部で金貨1枚になります」

1着銀貨5枚くらいか・・・むしろ安いわね。

「まあ、これから大口の注文をしてくださることを期待しての金額でもあります」

意外とはっきりと言うわね・・・このお姉さんすごいわね・・・

まあ、実際に注文するわけなんだけど・・・


「メイド服ですがデザイン案などはありますか?」

まったく無いわ。完全にお任せよ。強いて言うならエッチな感じなのはダメってくらい?

「それでしたら、以前作成したものなのですがこんなデザインでどうですか?」

悪くないわね・・・

これってどこかのお貴族様の家のメイド服?

「いいえ、世には出回っていない服ではあります」

ああ、何らかの理由でお蔵入りになったのね?詳しくは聞かないことにするわ。


そうね、袖は半そでにして、スカートは膝丈にして・・・

「夏服ということでしょうか?」

いいえ?黒猫メイド騎士団の制服よ?

「戦闘用ということでしょうか?」

運動性を損なわないようにして、それでいて手甲や足甲を装備可能な感じで・・・

「生地には鋼糸を織り込みますか?」

お姉さん、なかなか分かってるじゃない!

「普段は清楚なメイド、有事の際は主を護る騎士に!」

そう、そうよ!ロマンあるわよね!

「騎士団の紋章などはありますか?」

そうね、そういったものを刺繍で入れるのも悪くないわね・・・

「デザインは全員同じでよろしいですか?まあ、尻尾用の穴は別としてですが・・・」

とりあえずはね。

今後の成長次第で、剣士風とか斥候風とか魔法使い風とか変化をつけてもいいわね?

「それはその時の追加発注という感じで・・・」

ちゃっかりしてるわね・・・でも、嫌いじゃないわよ?


「ところで『黒猫メイド騎士団』とはどこの国の騎士団なのですか?」

国には所属してないわよ。冒険者のクランで名前が『黒猫メイド騎士団』っていうのよ。

最終的には魔王を討伐する勇者の軍勢になる予定よ?

「言ってみれば私設騎士団ってことですね?」

まあ、そうなるのかな?

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