第19話:白、移動方法を考える

お姉さんが作った服を見せてもらいたいんだよ。

「無いよ?」

なんで?

「オーダーメイドだけって言ったでしょ?」

なるほど。

ちなみに1着作るのにどれくらい時間がかかるの?

「物にもよるけど、今あなたが着ているような感じの服なら2日あれば出来るわ」

結構速いんじゃないかな?


で、お姉さんは糸は作れないんだよね?いつもはどうしてるの?

「基本的に材料持ち込みよ。この素材で作ってほしいっていう感じね」

なるほど。そういうものなんだね?


じゃあ、糸を作れる人を探さないといけないんだよ・・・

「さっき言ってたドラゴンの素材?」

龍の鱗で糸を作ってほしいんだよ。

「そもそも龍の鱗が手に入らないでしょ?」

それは手元にあるんだよ。だから加工出来る人を探してるんだよ!

「え?あるの?ドラゴンの素材が?」

せっかくだから有効に活用したいんだよ。


「そうね、やっぱりこの街じゃ無理ね・・・」

じゃあ、クラボーの街に行けばいいのかな?

「あそこで手に入るのは一般的な糸と布。特殊な素材はないと思う・・・」

そうなの?

じゃあ、どこに行けばいいかな?

「とにかく物が集まるところ、王都とか、貿易が盛んな街とか・・・」

ミシェールはそんな感じの街は知らない?

「そうですね、ダンジョン街でしょうか?」

ああ、ダンジョンがある街ね。それなりに期待出来そうなんだよ!

もともとダンジョンにも行くつもりだったしね。

「ただ、結構遠いですよ?馬車だと20日以上はかかるかと・・・」

うーん、どうしようか?


「では私に乗って移動しますか?」

チチカカは空を飛べるの?

「まあ、馬とは比べ物にならない速度は出ると思います」

でも、どうやって乗るんだよ?チチカカは別として上に乗るのが5人だよ?

馬車の客車部分をぶら下げて運ぶ感じ?

「それは考えていませんでした・・・」

さすがに普通にチチカカの上に乗ったら落っこちると思うんだよ。

そうでなくても、速く飛ぶと風がすごいんだよ。息も出来なくなるし・・・

「それも気付きませんでした・・・」

さては人を乗せて飛んだことは無いんだよ?

「まさにその通りです・・・」

何の準備もなしに乗るのは危険が危ないんだよ!

なんだかちょっと不安だね。


「すると馬車の客車部分だけを調達する流れでしょうか?」

問題はそれをチチカカが持って飛べるかっていう事なんだよ。

「試してみないと何とも言えません・・・」

それに私一人ならそれほど重くないかもしれないけど、5人も乗ると結構な重さだと思うんだよ?

「そうですね、いくら小柄な女性だけとはいえ5人ですからね・・・」

空っぽの客車だけでも結構重いんじゃないかな?

そんなわけで、ちょっと試してみた方が良いと思うんだよ?


噴水広場の乗合馬車乗り場にやってきたんだよ!

「リーゼちゃん、これで試すのはダメだと思うわよ?」

え?そうかな?

「ドラゴンがこんな街の中心部に行きなり現れたら大騒ぎになると思います」

そう言われるとそんな気もするんだよ・・・

じゃあどうする?馬車なんて持ってないんだよ?


「まずは街の外でチチカカさんのドラゴンの姿を見せてもらいましょう。それで判断します」

まあ、それならグレイスにお任せするんだよ。

「それでは騒ぎにならないように近くの森に行きましょう」


近くの森の入り口から少し奥に入ったところまで移動して、チチカカにドラゴンの姿になってもらった。

「どうかな?」

うーん、思ったよりも小さいんだよ。

古龍だからバイカルと同じくらいかと思ったのに、一回り以上小さいね。

「アナやフランよりも小さいですね。これではあまり期待出来ないと思うわ」

グレイスの判断も同じ感じだね。

「他の古龍を見たことあるの?」

ここではないけど、違う世界では龍神を使い魔にしてたんだよ。

「そんな恐れ多い存在と比べないでください・・・」

その時はドラゴンの人に蔦で編んだ籠を持って運んでもらってたんだよ。20人くらいまとめて。

「ごめんなさいそれは無理です・・・」

だよね?


じゃあ、丈夫な布でくるんで・・・ダメだ、その丈夫な布を作るために出かけるんだよ・・・

詰んだ?

誰か何かいい案はある?転移魔法とか使える人知ってる?

「転移魔法なんてありませんよ?」

え?

無いの?空間魔法とか次元魔法とか・・・

「それって、両方ともリーゼちゃんが使えますよね?」

だから、使い方がわからないんだよ・・・

いや、転移魔法は詠唱を聞いたことがあるんだよ。

「じゃあ!」

でも、行先の座標がわからないとどこに出るかさっぱりなんだよ・・・

「それは使うのが怖いですね・・・」

普通に馬車で移動するのが無難かな?

おしりが痛くならないようにクッションを多めに持っていくんだよ・・・

「では、戻って馬車を手配しますか・・・」


結局、噴水広場の馬車乗り場に戻ってきたんだよ・・・

「目的地はダンジョン街でいいんですよね?」

ミシェール、手続きとかはお任せするんだよ。

ところでいくらくらいかかるの?

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